グランドトラインと自動化反応

先日、あるユーチューバーが『エッセンシャル思考』(グレッグ・マキューン著)という本の紹介をしている動画を観たのですが、その一部が心理占星術と繋がる部分があってとても興味深かったのでちょっと書いてみます。

人間には決まった行動パターンがある

人間はトリガーとなる何かがあると、下記のように「自動的に」報酬に向かうようにプログラミングされているのだそうです。

トリガー ⇒ 行動 ⇒ 報酬

その理由は、

「常に思考しながら行動するのは脳がとても疲れるため。」

なので、すぐに報酬が得られるものを見つけると定番の行動をとるように自動化されているのです。

つまり、

「人間は習慣を楽に感じるようにできている」のですね。

それは日常生活でたくさん見つけることができます。

例えば、喫煙やお酒、甘いもの、コーヒーなどは、イライラしたり不安感があるときに、手軽に気分転換できることを脳が知っているので、何も考えずともつい手が出てしまいますよね。(私の場合は甘いもの)

報酬を得るために決まったパターンを繰り返す

これは、ノエルティル先生が自己防衛の一つとしてあげている、『グランド・トライン』の構造と似ているなと思いました。

トライン(120度)はそこに緊張がないので、ものごとがスムーズに流れていきます。

グランドトラインになると、そこに「流れを変える意志」が介入しない限り、永遠に繰り返される可能性があるわけです。

トリガー⇒行動⇒報酬⇒トリガー⇒行動⇒報酬・・・。それは無意識に行われるようになる可能性が高いのです。

上の例では、お酒やたばこなど、快楽を得るための習慣行動についてあげましたが、例えば「自分を守る(報酬)」ために作り上げる習慣もあると思います。

例えば

こどもの頃に自分が感じていることをお母さんに言っても伝わらなくて悲しかった経験を繰り返したとしたら、

「悲しい感情(トリガー)」

⇒「もう傷つきたくないから誰にも自分の内面を見せない(行動)」

⇒「それ以上傷つかない(報酬)」

というパターンが出来上がり、「悲しくても、誰にもその気持ちについて話さない」という『自動化プログラム』がいつも発動しているかもしれません。

これは「水サインのグランドトライン」に見られる傾向ですね。

同様に、

「無能な人間と思われたくないから、人の手を借りずに自分で処理する(地のサイン)」

「考えを否定されたくないから、誰の意見もきかない(風のサイン)」

「自分のやりたいようにやりたいから、誰にも邪魔されたくない(火のサイン)」

このような反応がパターン化して無意識に発動しやすいのでしょう。その報酬は例えば「自分を守る」ことです。本人はそう感じるということですね。

『トリガー・行動・報酬』のレベルには、ちょっとした気分転換や安心を得ることから、大きな快楽や刺激の獲得など様々あると思いますが、その大元は、過去の「喪失感や不安、不足感などをうめるため」の無意識の反応だったと言えるでしょう。

そして、何度も繰り返すうちにそのパターンが強く刻まれた場合『自動化プログラム』から抜け出すことが難しくなります。

自動反応なので自分で気づくことは難しく、人に指摘されてハッと気づいたり、ときには拒絶反応を起こすこともあるのでしょう。

自分の「一番痛いところを突かれた」という感覚。

このパターンは決して珍しいものではなく、多かれ少なかれ誰にもあるのでしょう。

そして、多くの場合、その防衛パターンはもう必要ないのだと思います。

決まった行動のパターンから抜け出すには?

その本によると、その習慣(パターン)を変えるには

『トリガー』を見つけたときの『行動』を変えていく。

例えば、考え事をするときに甘いものを食べてしまう。

→ 甘いものではなく、お茶を飲む/体を動かす
(実は甘いものが食べたいわけではなく単なる習慣だから)

『トリガー』そのものを見破って変えていく。

例えば、競馬場の前を通るとお金がなくてもつい馬券を買ってしまう。

→ 競馬場の前は通らない
(「競馬場の前を通ると馬券を買う自分」を客観的にみる)

同様に、ホロスコープのグランド・トラインが示す「自己防衛のための『自動化された反応』」についても

その反応がどのように形成されたのかについて自覚し、『トリガー』を見破って『行動』を変えていくことが、不必要な反応の繰り返しから脱出する第一歩になるのでしょう。

(ただし、深刻な場合には、専門の医療機関のサポートが必要でしょう。)

心理占星術において

グランドトラインがなぜ「自己防衛・閉鎖回路・自己完結」の傾向を表すのか。

人間の脳は、「楽に報酬を得るために反応のパターンを自動化する」というシステムだから、と考えるととても納得できると思いました。(あくまでも仮説ですが。)

人間の脳は、超高度化されたAIみたいなもので、ある意味プログラミングであり、パターンがあるのだと思います。

以前、カウンセリングの講座を受けたときに、「ある行動をとるこどもの家庭は、ほぼ決まって○○のパターンがある」と先生が仰っていて、人間がとる行動には一定のパターンがあるのかもと思いました。

それは、親から子へ、社会から社会へと受け継がれているものなのかもしれません。

そうであるならば、日本人全体として受け継いできた、『トリガー⇒行動⇒報酬』の共通パターンを変えていくことは、とても意味深いことなのでは、と思います。

ひとり一人が自分を客観的にみることができる、そのような社会になるともっと楽に生きられるのかなと思います。。

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この本では、『ボトルネック』(瓶の細くなったところ。中の液体を出にくくして塞いでいるもの)を生活から取り除くために「無駄な習慣」を変えていくことを提唱しています(内容はもっと多岐にわたります)。

『ボトルネック』は、ティル先生が仰るところの「潜在的可能性の発揮を妨げている要素」と似ていますね。

ですが、このようにも考えられます・・・

一流の人たちには、必ずといっていいほど、毎日淡々と続けている習慣があるそうで、習慣はクリエイティブな仕事には必須と言われています。

つまり、繰り返すことには大きな発展の可能性も秘められているのです。

なので、これは「自己防衛のための自動反応」か、それとも「創造性を生み出す繰り返し」か、よく観察してみるとよいのかもしれません。

あるいは、自分で決めたことを、「意識的な繰り返し」から無意識の反応にまで高めることを試してみる、、というのも一案ですね。

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参考記事:よく似たグランド・トライン~大谷選手など~

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