今年の7月~9月にかけて、イギリスの占星家Bernadette Brady先生のサマーコースセミナーをオンラインで受講しました。Bernadette先生は気さくでエネルギッシュなおばあちゃん?先生で、参加人数も多く一言も発せずとも受講できたので、すごくホッとしました(笑)。
また、画像資料が印象的にわかりやすくまとめられていて、それを見るだけでもキーポイントはつかめたので助かりました。
あらためて腑に落ちる点がたくさんあって視界が広がり、思い切って参加してみて良かったなあ~と思います。Q&Aのコーナーは、その会話のスピードについていけず、内容がさっぱりわからなかったけれど…(^^;)
学んだ中で、実践ですぐに役立ちそうな『プログレスの月(相)』について書いてみます。
プログレスの月相
プログレスとは、生後1日の天体の動きを生後1年に当てはめます。なので、生まれてから(例えば)90日間の天体の動きは、人生90年に相当するわけです。言ってみれば、赤ちゃんのときに体験した90日間の天体の影響を、90年かけて追体験するという感じでしょうか。その間に新月と満月を約3回体験します。
そう考えると、人生とは一度仮体験したことの『復習』と『応用』みたいに思えますね。
私たちが住む世界は、朝昼夜、春夏秋冬、人間の一生など、様々なサイクルで成り立っています。月の満ち欠けもその一つですね。Bernadette先生は、このプログレスにおける【月相】が非常に重要だと仰っていました。
以前書いたブログでは、「プログレス新月・満月」以外には、「プログレスの月から出生図の天体・軸への接触」を取り上げたと思いますが、今回は、「プログレスの月相(P月とP太陽の関係)」という占星術のサイクルに注目してみます。
プログレス月相では、人生の流れを作物の収穫に例えます。
占星術の時期表示には、長期・中期・短期といった、いくつかの時間枠がありますが、プログレスの月は『中期(1か月)~長期(29年)』の部類に入ります。自分が今どの位置にいるのかを知ることで、新月はいつだったのか、そのころ(約3年)どんな種まきをしたのか、今自分はどんなテーマに取り組み育てているのか、何を終わらせようとしているのか。。。そんなことが見えてくるでしょう。
ちなみに、「プログレスの太陽」は、「ソーラーアークの太陽」と同じですが、長期の時期表示として、この太陽がどのハウスを進んでいるか、どのサインにあるか、またハウスの移動やサインの移動にも注目します。やはり、サインの移動はプログレスにおいても重要な変化を意味するのでしょう。
プログレスの月は、『感情』の動きを表しているので、この流れは実感として納得できるのだと思います。腑に落ちるというやつですね。新月前には、ものごとを「これでおしまい」にしていく感じは、私も強く感じていました。気持ちが違う場所に移っていくような。。
実例として、21歳で電撃引退した山口百恵さんのケースをあげてみます。
百恵さんのチャートです。出生時間の出典は不明なので、検証を兼ねてみてみましょう。
・ほぼぴったり上弦の月の生まれですね。山羊太陽と牡羊月のスクエアで、野心家で進取の気性に富んでいます。土星も山羊座(しかも牡羊ポイント)で社長的な気質がさらに強調されています。
タレントでありながら、プロデュースされている自分を、監督的視点から客観的に観察していたのではないでしょうか。(牡牛の月、という感じもしますが。。)
・牡羊と山羊のスクエアは、そこにストレスが内在していそうです(太陽スクエア月は、生まれたときに、両親が不仲だった可能性ありと言われています。)アクセルとブレーキをいかにコントロールできるかで、不屈の意志と忍耐を兼ね備えた人になれるのでしょう。
・月ー土星ー冥王星は、オーブを広めにとると「火ー土ー土」のグランドトラインを形成しています。グランドトラインは、自己閉鎖回路による「自己防衛」を表すと言われていて、山羊座強調とあわせて「自分でできるから人の助けはいらない」という傾向があるのかもしれません。
また、このグランドトラインは、土星=月/冥王星 を形成していて、「情緒の抑圧・喪失感と再生への努力」を表しています。父・母との関係の中で、強い責任感を培ってこられた様子が浮かんできます。
・海王星ー金星ー天王星ー火星ー木星が、不動宮でゆるいグランドクロスを形成し、アセンダントに接触しています。個性的・美的表現、カリスマ性や人気、一度決断したら梃子でも動かない面を表していそうです。海王星は「映画」ですね。
・アセンダントルーラーの天王星がディセンダントにのっていて、それが3ハウスの火星にスクエア、アセンダント上の金星にオポジション。個性の表現が人々に強烈なインパクトを与えます。金星は水瓶座で、当時中学3年生でありながら大人びた歌を歌いこなし、センセーションを巻き起こしました。
また、パートナーといるとパワフルで魅力的な表現ができたり、パートナーとの関係を通して自分らしさを発揮できそうです。
成長のための方向性を示すノースノードが天秤座(パートナーシップ)にあって共鳴しています。百恵さんにとってパートナーが非常に重要な存在のでしょう。(三浦友和さんと何度も共演しています。)
でありながら、7ハウスルーラー太陽が12ハウスにあって、結婚してきっぱりと引退して(ある意味)隠れている印象があります。12ハウスなので、実在というよりは伝説的な存在として際限なく拡大していく可能性。
・7ハウスの冥王星がMCにスクエアで、仕事を通して大勢の人に影響を与えているのは納得ですね。
全体として、出生時間は大きく違ってはいない?という感じがします。だとすると、南半球への偏り(環境の犠牲になりやすい)となり、山羊座強調(責任感)、グランドトライン(自己完結)とともに、「周りが要求するままに、人に頼ることなく全力で走り抜けた様子があらわれます。
そして、芸能界をきっぱりと引退して、家庭を守り、自分の好きなこと(キルト製作)に打ち込んでこられたのは、「北半球へのセラピーフロー」の実践と言えるのかな。。と想像します。
ここで、百恵さんのプログレスの月相とできごとを、ざっとピックアップしてみます。
1974年、「ひとなつの経験」ヒット、『伊豆の踊子』主演、三浦友和と共演
1974年10月~6年間、「赤いシリーズ」主演
1976年、プロマイド売上年間1位
1978年、NHK紅白歌合戦で紅組トリを務める
1980年3月、婚約発表、引退宣言
1980年9月、自叙伝『蒼い時』出版
1980年10月、武道館でファイナルコンサート、伝説の「マイクを置く」パフォーマンス
1980年11月、結婚式 (*プログレス新月)
1987年頃、独学でキルト製作を始める
2019年、キルト作品集『時間の花束』出版
ウィキペディアより
グラフにすると・・・
山口百恵さんのプログレス月相表
要点をいくつかあげてみると・・・
驚いたのは、結婚式が1980年11月19日、プログレスの新月が11月22日で、ほぼピッタリなことです。そして、真っ白なドレスを着て、歌の最後にマイクをステージ中央に置いて舞台裏へと去った姿は多くの人の記憶に残っていると思いますが、それがひと月前の10月。正真正銘、新たな出発だったのだな~とちょっと鳥肌が立ちました。。
百恵さんが芸能界で活動されたのは約7年間とそれ程長くないですが、大成功されたにもかかわらず、結婚とともにきっぱりと引退されたのは、新月で気持ちがしっかりと切り替わっていた、芸能活動はもう終わりにして家庭に入るのだ、という潔さがあったのですね。
また、上弦・下弦の月の時期を見ると、重要なアクションが起きているのがわかります。芸能界デビュー、三浦氏との出会い、キルトとの出会い、キルト本の出版・・・太陽と月のスクエアはやはり、行動を起こすときと言えそうですね。
21歳(~25歳)のプログレス新月期には、結婚(家庭)という種をまき、それを貫かれたのですが、お子さまたちも立派に成長された今は、再びご自分の美的・個性的表現に力を注いでおられるのかな~と想像しました。
今回は月相に注目しましたが・・・
プログレス月と出生図の関係も重要です。月相で大きな流れをつかんで、その上で出生図との関係を見ていくと、人生を立体的に捉えることができて、今をどう過ごすかがよりクリアになると思います。占星術セッションでもそのような視点をクライアントさんに提供できると、より意味のある会話ができるのではと思います。
百恵さんについて、写真家の篠山紀信氏は「時代が山口百恵を必要としていた」「時代と寝た女」と称したそうです。プログレス下弦の月から新月にかけて、7年という短い間ですが、パッと大輪の花を咲かせて一世を風靡し潔く去っていった姿は、女性アイドルでありながら、山羊ー牡羊(戦略・実行)の男性的手腕を感じますね。
プログレス月相について、ご興味のあるかたはぜひ色々なケースをチェックしてみてください。よろしければコメント欄などで教えてくださいね!
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