土星回帰までの4年間は土星が試されるとき~弱さを受け入れること~

西洋占星術の時期表示には、トランジット、プログレス、ソーラーアークをはじめ様々な技法がありますが、その中で、土星のサイクルの影響についてあらためて考えてみました。

土星回帰について

土星回帰とは、トランジットの土星が出生時の位置に戻ってくることを言います。

土星の周期は約29年なので、29才、59才、89才の頃が土星回帰となります。

ホロスコープの土星は、おもに父親(的存在)そして教師や上司など、自分を指導してくれる人物を示し、忍耐、思考、寛容、決断など社会で生きるために必要な資質について、良くも悪くも大きな影響があります。

私たちは、それらの影響を通して、時間をかけて自分の中の土星を成長させていくのです。

実際のケースを見ていると、どんな導きを受けてきたか(または受けなかったか)は千差万別であり、それが人生への取り組み方の個性に大きく関わっていることは、とても興味深いです。

土星回帰とは、どれだけ自分の意思に沿って自主的に生きてきたか、あるいは、誰かに言われてそうしてきたのか、土星の成熟度に点検が入るときだと言えます。

・もし、前者のように生きてきたのなら、土星回帰を経てより一層人生の枠組みが盤石になり

・もし、後者のように生きてきたのであれば、土星回帰は本来の生き方にそぐわないものの断捨離のときであり、大きな変化を余儀なくされるのでしょう。

土星回帰と「恐れ」

土星は「形にする」「達成する」「コントロールする」ことであり、

同時にその中に潜んでいる「恐れ」や「苦手意識」に向き合うことも示しています。

例えば、リーダーになりたいけど選ばれるのは恐い、だけど、選ばれないのはもっと恐い、みたいな。

そういう自分の内面に踏み込むのは、いやな感じがしますよね。できれば素通りしたい。

その「恐れ」とは、獲得することへの恐れであると同時に、獲得できないことへの恐れでもあると言えます。

なので、土星回帰は、

自分のなかの「恐れ」にどこまで向き合いコントロールできているか、容赦なくチェックされ、見せつけられるときでもあるのだと思います。

土星のサインと「恐れ」

土星のサインが努力の方向性と克服すべき「恐れ」を表しているならば、こんな感じでしょうか。

  • 牡羊座の土星・・・一番になることに対する恐れ、ものごとを始めることに対する恐れ
  • 牡牛座の土星・・・貧しさ/豊かさへの恐れ
  • 双子座の土星・・・自分の表現・伝達(能力)に対する恐れ
  • 蟹座の土星・・・安全を守ることに対する恐れ
  • 獅子座の土星・・・注目されることに対する恐れ、権威に対する恐れ
  • 乙女座の土星・・・仕事能力に対する恐れ
  • 天秤座の土星・・・ものごとや人間関係における公正・公平さに対する恐れ
  • 蠍座の土星・・・人間関係における自分の「力」や相手との一体化に対する恐れ
  • 射手座の土星・・・信じることに対する恐れ、冒険(リスク)への恐れ
  • 山羊座の土星・・・ものごとの管理・達成・成果に対する恐れ
  • 水瓶座の土星・・・社会の中で、他と異なる存在であることに対する恐れ
  • 魚座の土星・・・社会や他者と自分との境界線に対する恐れ

これらの「恐れ」と向き合い、満足のいくまで努力できたときに、誰とも比較しない自分の「自信」となるのでしょう。

大切なのは自分の弱さを受け入れることなのかもしれません。

そして、等身大の自分として、自分の足で立つ。

土星回帰の影響はいつから?

土星回帰の影響は半年~1年前位から始まると言われていますが、その時期についてあらためて考えてみました。(あくまでも仮説です!!

一つのアイデアとして、土星が出生時の位置からスタートして同じ位置に戻ってくるまでのサイクルを、月相にあてはめてみます。

まず、新月~次の新月までの月相と意味するものは以下のとおり。

注目したのは、鎮静の月(Balsamic Moon)と言われる断捨離の月相の時期です。

その時期は、次のサイクルの始まりに備えて、取捨選択、整地、要らないもののお片づけのときになります。

そして、土星のサイクルに月相を当てはめてみると、以下の図のようになります。

すると、25才~29才、55才~59才、85才~89才の、土星回帰前の約4年間が、「バルサミックの月」の時期に相当します。

この「バルサミックの土星?」の期間が、土星のサイクルにおける断捨離の時期になると考えてみました。

1回目の土星回帰

1回目の土星回帰については、25才頃から土星の点検が入るのかもしれません。

21才の頃は、土星サイクルを月相に当てはめると「成熟」期になり、24才の頃には木星回帰もあります。

この時期の成功体験が大きいほど、25才~29才頃には、自分の弱さに向き合って、自分のあり方を変えていく必要があるのかもしれません。

多くの場合は、この時期は、親や環境の影響を受けたレールの延長線上で生きているかもしれません。そうであれば、自分の方向性を模索するときと言えます。

いずれにしても、29才頃の土星回帰のころには、結婚、出産、転職、起業、引越しなど、より自分らしく生きる道を歩き始めるのでしょう。

2回目の土星回帰

2回目の土星回帰については55才頃から影響があるのかもしれません。

この頃は、こどもの就職や結婚、親の介護や実家のこと、自分やパートナーの仕事のこと、老後の生活や「人生の最終章をどう生きるのか」など、結構たくさんの課題があります。

それらの課題を通して、今まで避けてきたことに向き合う/向き合いたくない、そのようなお話をよくききます。

20代の頃と違って、背負っているものが大きくなっているので、取り組むのはエネルギーを使いますが、まだ体力があるこの時期に片付けておく必要があるのでしょう。それによってその後の生活が快適になると思われます。

そして、健康についてもこの頃から点検しておかないと、土星回帰の頃に大きく表面化するので要注意ですね。

(私は、歯医者にずっと通っています。。)

色々なしがらみは脇に置いて、自分は本当は誰とどんな生き方をしたいのか、正直に考えてみるのがよいのだと思います。

ちょっと面白いのは、土星回帰の少しあと、60歳の頃に木星回帰もやってくることです。頑張った人はそのご褒美として、木星が還暦を祝ってくれるのですかね~(笑)。

まとめ~なぜ土星回帰「前」だったのか?~

今年、1994年~1995年生まれの人の「活躍」と「課題」の両面がとても印象的だったのですが、彼らの土星は魚座10度~20度前後で、ちょうど「バルサミックの土星」の時期に入っています。

例えば、大リーグの大谷翔平選手、ショパンコンクールで2位入賞の反田恭平さん、ジュネーブ国際音楽コンクールで1位の上野通明さんなどは、国の枠を越えてその実力が認められました。(ご本人たちにとっては通過点だと思いますが。)

大谷選手が高校時代に作った「目標達成シート」は有名ですが、自分で目標を定めて実行することが、長年の訓練により身についていたのですね。達成シートにも書かれていた「ゴミ拾い」をいまだに実行しているのは、驚きです。。

土星がしっかりと育っているところに、現在「大きな成功」を示す個人の時期表示が重なっているのでしょう。その場合、土星はより大きな結果をもたらしてくれるのかもしれません。

一方で、東京五輪では、黄金世代と言われた1994年生まれのアスリートたちが、世界トップの実力がありながら実力を発揮できなかったり、何かから解放されてやり切った喜びをかみしめるようなシーンもありました。

彼らの活躍を楽しみに応援していたこともあり、アスリートとしての心の戦いを感じ、見えない「敵」との内なる葛藤は、細かい時期表示からは見えてこないのだなと思いました。

そのようなわけで、心の成長からみた、土星のサイクルによる時期表示を考えてみたのです。

内なる「恐れ」と向き合い、それをコントロールできること、どんな結果も受け入れて自分で自分の人生の責任をとること。

バルサミックの土星の時期は、そのことが問われるときであり、不要なものを手放し、進むべき道を選ぶ。

それが土星回帰以降の、本来の自分らしい生き方につながっていくのだろうと思います。

~土星回帰を迎える若者へ エールをこめて~

参考記事:土星探査機『カッシーニ』とトランジット土星のサイクル

・・・

追記:フィギュアスケートの羽生結弦選手(1994年生まれ)が、年末の全日本フィギュア選手権で優勝し、取材を受けて語ったことが、土星的な成長をとてもよく表していると思います。

「あの、なんか、そうですね24歳、5歳ぐらいのときですかね。あの、すごく成長が止まったなって思った時期と、あのフリーが通せなくなったなっていう時期と結構あったんですよ。でも、おっしゃるように僕多分、今、一番うまいです、間違いなく。それは多分トレーニング方法が自分で確立できるようになった。自分でプランニングできるようになった。そして、羽生結弦にとってのフィギュアスケートのトレーニングがどういうものかっていうことが確立されて、それを実行できるようになったのが一番大きいんじゃないかなと思います」

yahooニュース スポニチアネックス 2021年12月27日

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