フィクションの能力は12ハウスが表す?

「怒り」「快楽」そして「フィクションを作り共有する能力」が、いかに私たちの行動を支配しているのか?脳やホロスコープの構造とあわせて考えてみました。結構長文です(^^;)

人間と動物の「怒り」の違い

まずは、怒りについて。怒りのもとは、感情の中枢と言われる「扁桃体」にあるそうです。

感情の中枢である扁桃体

そこで、扁桃体についてあらためて調べてみました。

扁桃体とは、側頭葉の内側の奥にある神経細胞の集まりで、大脳辺縁系とよばれる「情動」に関する回路の一部。(下に図解あり)

とくに「恐怖」や「不安」により活性化し、海馬を通してその情報を大脳皮質に記憶させます。

私たちは危険を感じると、反射的に緊張モードになるのはこの回路のためであり、「扁桃体」は私たちの命の安全に深く関わっているのです。

そして、興味深いのは、恐怖にたちむかうときに「恐れ」が「怒り」に変換されるということ。

「怒り」とは、本来、恐怖に打ち勝ち社会を変える、重要なエネルギーなのです。

このように、扁桃体は非常に重要な器官なのですが、現代社会においてはその「過活動」や「活動の低下」がメンタル疾患に深く関わっているそうです。

動物の「怒り」とは

動物と人間の怒りを比べてみます。(ここでは「動物」を”人間以外の”という意味で使っています。)

人間と比較して、動物の「怒り」は、食べ物やパートナー・家族を守るときなど「今ここ」についてのもの。

興味深いのは、

もともと霊長類は、平和的な共存を達成するために「怒り」を使い、「怒りと和解」が必ずセットだった

ということ。

例えば、ゴリラがリーダーを決める争いをしたあと、勝者が敗者を引き寄せてハグをし、仲間として加わることを許す、というシーンが紹介されていました。

霊長類の怒りは、本来、仲間内でお互いの関係を認め合い、群れを結束させるためのもの、なのだそうです。

人間に比べてとてもシンプルですね。

人間の「怒り」について

それに対して、人間の「怒り」はより複雑で、以下のような状況が考えられるそうです。

<怒りに陥りやすい9つの状況>…LIFE MORTS(人生の致命傷)

  • L…生命や身体を守るとき(Life Limb)
  • I…侮辱されたとき(Insult)
  • F…愛する家族を守るとき(Family)
  • E…自分の居場所を守るとき(Environment)
  • M…友人を守るとき(Mate)
  • O…社会の秩序を守るとき(Order)…人間特有の第三者的怒り
  • R…資源を守るとき(Resources)
  • T…自分の属する集団を守るとき(Tribe)
  • S…自由に移動できないとき(Stopped)*
    (*思い通りにいかないとき、期待できないことを期待するとき、も含まれます。)

ざっくりと言えば、「大事なものを守りたい」ときです。

動物と比較すると、人間は、守る範囲=「怒り」の対象が広がっています。

その理由は、農耕牧畜による定住化と集団の拡大により共感性が生まれ、外への敵意が強められたから、とのこと。

もともと、霊長類の「怒り」は群れをまとめる手段だったのが、いつの間にか人間だけが「怒りは相手を抹殺することに繋がっている」と解釈するようになったそうです。

前頭前野のはたらき

脳の中では一体なにが起こっていたのでしょうか??

扁桃体が「怒りのもと」とすると、前頭前野は「ブレーキ」であり、未来予測による「アクセル」でもあるのだそうです。

この「アクセル」が曲者かもしれません?!

最近は「アンガーマネジメント」という言葉をよく耳にしますが、「怒り」をコントロールするためには、扁桃体の暴走回路?を何とかする必要があるのでしょう。

*参考にした番組では説明はありませんでしたが、扁桃体の緊張にも次に登場する「ドーパミン」が関わっているようです。

「快楽」は学習のため

次に「怒り」とは一見正反対の「快楽」について考えてみます。

快楽と「ドーパミン」

人間や動物の脳は、欲望が満たされたときに、ドーパミンなどの快楽物質を分泌します。

何かを達成したときや、褒められたりしたときに「やったー、嬉しい!」と活力が湧いてきた経験ってありますよね。そんなときに、脳の中でドーパミンが出ているそうです。

それがシグナルとなり、その行動を繰り返すように脳を書きかえていくのが、「快楽による学習」です。

これをやると快感だよ~と脳が学ぶわけですね。

また、良くも悪くも「驚き」が脳に快感を与えることもあるそうです。(お化け屋敷とか・・)

すると、それらを期待するだけで快楽を感じるのだそうです。

つまり、報酬を得た事実よりも、報酬を期待するときに、より快楽を感じるのです。おもしろいですね。

このドーパミンによる快楽は、あらゆる行動のモチベーションと言えます。

人類がアフリカから全世界に広がっていった「開拓の原動力」でもあったのでしょう。

二つの「快楽」と「我慢」

そして、快楽には二段階あるそうです。

① 線条体(古い脳)による学習
目の前の報酬のために行動する⇒食欲・性欲など

② 前頭葉(新しい脳)による学習
記憶に基づいて未来の報酬を予測して行動する⇒コツコツ勉強して試験に合格すれば、家族も喜ぶし自分も嬉しい

興味深いのは、前頭葉はゴールを先に決め、そこに到達するためには何をすべきかストーリーを作ることができる、ということ。

私たちの脳がストーリーをこれほど喜ぶのは、前頭葉の本来のしくみを反映しているそうです。(なるほどですね~。)

なので、「ドーパミン」は、未来のことを考えてより多くの報酬を得るために努力する、「我慢」の学習にも関わっています。

これは、狩猟生活から農耕社会に変化し、長期的、計画的に食料の確保をするようになったこと、ドーパミンの軸索が前頭葉に伸びたことと深い関連があるそうです。

この新旧二つの脳を一致させることが重要なのだそうです。目の前の報酬につい負けてしまいますけどね~。。

「共感性」を生み出す

また、ドーパミンが「前頭前野」のある部分に働きかけることで、他人のことを自分のことのように想像できる「共感性」をもたらしました。

普遍的な人類愛、思いやりのある社会性、人の心を読み取る能力など、人間らしさの正体と言えます。

なので、他者のために何かをして喜ばれることも、脳は嬉しいと感じるのですね。(なるほど~)

このように、人類の進化に深く関与しているドーパミンですが、新しい脳の学習が阻害されたり、旧い脳の快楽が暴走したりすると、依存症など日常生活に支障が出ることもあるのでしょう。

・・・

ここで、「共感力」を別の角度から考えてみます。

『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ氏著)に書かれている「認知革命」説です。

認知革命と「フィクション」の共有

「ホモ・サピエンス」とはラテン語で「賢い人間」を意味し、私たち人類が属する種を示しています。

それはヒト属で現存する唯一の種であり、他のヒト属はすべて絶滅しているそうです。

なぜ、人類だけが地球上でこれほど繁栄するに至ったのか?

ハラリ氏は、その理由を、

人類が虚構(フィクション)を作る能力を得たから、

と述べています。

フィクションとは、例えば、

「この村のリーダーには神様がついていて、守られている」とか

「隣の村には恐ろしい鬼が住んでいて、我々の村を襲撃しにくるらしい」など、

架空の物語を作り、それを信じ込み、仲間と共有(共感)することです。

この、フィクションを作り共有する特殊能力によって、多くの人(150人以上)が協力・連携し、集団の力で他を打ち負かすことができた、というのがハラリ氏の説です。

そして、およそ7万年前に、人類がこの能力を獲得したことをハラリ氏は【認知革命】と定義しています。

(この説は、ものすごくおもしろいな~と思います。)

その後の革命

認知革命は、農業革命(一万年前)、科学革命(500年前)を経て、ホモサピエンスに空前の発展をもたらします。

農業革命では、貨幣・国家・宗教というフィクションが生まれ、人々はそれらの「意味」を信じて共有しました。

科学革命では、帝国主義や社会主義・共産主義・進化主義など、新たなフィクションが生まれて、人々が信じているものを塗り替えました。

どの時代も、人類はフィクションによって力を獲得してきた、とハラリ氏は述べています。

日常の中のフィクション

あらためて自分の周囲を観察してみると、ある程度大きな集団において、メンバーを結束させ行動に駆り立てるのが「フィクション=ストーリー」であることに気づかされます。

また、ドラマ、音楽、小説、絵画、ゴシップ(噂話)など、そこにストーリーが存在すると引きつけられますね。

先にも書きましたが、人間はやはり「ストーリー」が大好きなのでしょう。

そして、フィクションを作る能力が、「怒り」に大きな影響を与えたのでは?と想像します。

自分で想像したストーリーが、過去の不安の記憶を呼び起こし扁桃体が活性化して、さらにネガティブなストーリーをつくり信じ込む・・・

仏教でいう「煩悩」も同様かもしれません。

認知革命(フィクション)は12ハウスの力?

フィクションを作り、信じ、語り、共有する能力をホロスコープで考えてみました。

認知機能やコミュニケーションに関わるのは、3-6-9-12ハウスと言えます。

その中で、今回鍵になるのは、12ハウス・海王星(&水星)でしょうか??

「認知革命」は、何らかの理由により、12ハウスが急激に発達したことを意味するのでは?と推測してみました。

シンプルだったホロスコープが、ケーデント・ハウスの力により一気に複雑化していった感じです。

ハラリ氏は、何かのインタビューで、「私たちは『現実の世界』と『空想の世界』、この二つの世界を生きている」と話していました。確かに、私たちの内面には、現実よりもはるかに広い世界があるように思います。

現実と「フィクション」を切り離す

私たちは自ら作ったフィクションに、無意識のうちに振り回されているのかもしれません

世の中のフィクション、家族のフィクション、そして自分の人生で作ってきたフィクション、それらに「気づく」ことが、まずはとても重要なのだろうと思います。

不安や恐怖を感じたときは、その中に潜んでいる「フィクション(虚構・妄想)」は何だろう、と疑ってみる。

「この不安は、何がどうなることを恐れているのだろう?」とか

「自分がどう感じることを予想して心配しているのだろう?」など

フィクションと現実を切り離してみることが大切だと思われます。

人間は「意味」の動物である、とある教授が言っていました。確かに、人間はどんなことにも「意味」を持たせてそれを共有していますね!)

ホロスコープの軸について考える

ここまでみてきた「怒り」や「快楽」と「ホロスコープの軸&ルーラー」の関係についてまとめて考えてみます。

ホロスコープの構造をみても、霊長類の生命維持・進化のためには、

  • 命の安全【月】
  • 怒り・チャレンジ【火星】
  • 報酬・快楽【金星】
  • 理性によるコントロール・社会【土星】

が基本であり、そのバランスが重要であると言えそうです。

それぞれ詳しく考えてみます。

・「怒り(火星)」と「快楽(金星)」は、最も根源的なモチベーション

人間は未知のものに対して強い不安や緊張を感じる一方で、快楽への期待が、それらを乗り越えるよう駆り立てます。

ちょっと怖いけどなんだか楽しそうだからやってみよう、という感じ。

・「ゴールを決めてプランを立てる」のが前頭葉(土星)のはたらき

夢を実現する、仕事をやり遂げる、など

これは幼少期には主に父親、そして先生や上司などからの指導が重要な体験となるでしょう。

あるいは、社会との関わり

要になるのは、愛されている=命が守られている(月)という感覚

生後最初の快楽は、おそらく母親を介して乳を与えられたときであり、そのときの快楽と安心が私たちの最も基盤にあるのだと思います。

これらをまとめると、、

安心(月)の中で理性を育てることで社会との関わり方を学び(土星)、世の中に飛び出す勇気をもち(火星)喜びを得る(金星)ことができる。

ホロスコープはよくできているな~と思います。

まとめ・「フィクション」を活用する

さて、ハラリ氏は『サピエンス全史』の中で、

サピエンスは完全に地球を制圧したけれど、果たして幸せか?
人間至上主義とも言える現在のフィクションから目覚めたときに、今の時代をどう振り返るだろうか?
もしかしたら新たな存在がサピエンスにとって代わるかもしれない。(要約)

と書いています。

水瓶座の水星・金星に天王星がスクエアのハラリ氏らしいですね~。

人類の所業を時間的・空間的に俯瞰して、何となく感じていたことをズバリ突き付けられた感じがしました。(それが真実かどうかはわかりませんが・・)

今まで当たり前と思っていた「フィクション」の力が、実はとても特殊な能力であるというのは、とても面白いアイデアで、色々なことが腑に落ちました。

私たちは、人生において何層にも重なったフィクションを自覚した上で、自分が生きたいストーリーを自ら創っていくこともできるのだと思います。

脳の構造を理解して、日々わくわくとフィクションの力を活用できたらよいですね!

長文お読みいただきまことにありがとうございました!!

参考:
NHK『ヒューマニエンス ”怒り”ヒトを突き動かす炎』
同『ヒューマニエンス ”快楽”ドーパミンという天使と悪魔』
『サピエンス全史』 ユヴァル・ノア・ハラリ著  他

・・・・・

余談ですが、、

ハラリ氏は、人類がフィクションを作り信じる能力をどうして獲得したか、その理由はわからない、と述べています。

多分、生き延びるために脳が勝手に進化したのだと思いますが、そのこと自体が不思議ですね。

シュタイナーによると「海王星」は味覚に関連するとのことで、もしかしたら当時、人類だけが何か特別なものを食べて味わい、それが脳の進化につながったのかもしれません?! →これもフィクション。。

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