占星術において、12サインの始まり(牡羊座0度)をどこに置くかについては、トロピカル方式*やサイデリアル方式**があります。
現代の西洋占星術では主にトロピカル方式が採用されていて、私は何の疑いもなくその方式に従っていました。
あるとき、ある古典占星術家の方が「自分はトロピカル方式を採用している、なぜならそれは四季を表しているから」と言っておられて、何だかとても納得しました。
そして、、なるほど、東洋占術の暦もトロピカル方式を取り入れているのだなと(今さらながら)つながりました。
そこで、西洋占星術の12サインと東洋の十二支などについて、自分なりに整理してみました。よろしければお読みだささい!趣味的な内容です~
*トロピカル方式では、太陽の通り道である黄道と天の赤道の2つの交点のうち昇交点を牡羊座の0度(春分点)としています。そこを太陽が通過した瞬間が春分となります。地球の四季と連動。
**サイデリアル方式では、ある恒星の位置を牡羊座の0度に定めました。その後、地球の歳差運動(約25,800年周期)により、その位置は72年に約1度ずつ西へ移動することが判明。現在その暦は位置の計算方法により数種類あるとのこと。インド占星術ではサイデリアル方式を採用。
12サインと十二支を比べてみた
まずは、黄道上に割り振られた西洋占星術の12サインを見てみます。
太陽は、黄道上の12サインを一年で一周します。私たちが○○座生まれと言っているのは、生まれたときに太陽がそのサインを運行中だったということ。
勿論、動いているのは地球なので、太陽の見かけ上の位置になります。
ちなみに、正確に言うと、太陽の春分点通過から次の通過まで(365日+約6時間)が一年で、端数の6時間はうるう年で調整されるそうです。
ここに、東洋の暦の十二支の月を重ねてみます。
12サインと十二支が少しずれているのが気になりますが・・・季節感がありますね。
12の月は、十二支(子~亥)で表されています。
立冬から立春は冬、立春から立夏は春、立夏から立秋は夏、立夏から立冬は冬で、それぞれ、水・木・火・金の性質をもちます。
そして、四季の境目には「土」が配置されていて、ホロスコープで言うと不動宮のグランドクロスにあたります。全ての要素は大地に支えられている感じです。
★一年間の12サイン、十二支の流れは地球の公転によるものであり、地軸が23.4度傾いていることにより「季節」が生まれます。ちなみに、太陽の日周運動は地球の自転によるものですね。
(十二支は、通常時計回りに書かれるようですが、ここでは12サインに合わせて反時計回りになっています。)
二十四節気
ここで、二十四節気について簡単に書いておきます。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、「黄道」と呼ばれる太陽の通り道を24等分したもので季節の移り変わりの指標として活用されてきました。(まさにトロピカル方式ですかね)
まず、
冬至・夏至、春分・秋分(二至二分)
立春・立夏・立秋・立冬(四立)
で8等分したものが八節。
八節は上の図にもあるように全体を約45度ずつ分割しています。つまり、一節は約45日。
さらに、上の図にはありませんが、八節を3等分して二十四節気となります。一節気は約15日。
二十四節気には、啓蟄、処暑、白露、大寒など、季節を表す言葉が使われていますね。
15日≒約2週間で節気は移り変わっていくと言えます。
12サイン、十二支のカスプについて
話を戻します。
十二支の月の範囲は、おおよそ以下の度数にあたります。
【冬】
- 亥月(11月)…蠍座14度~射手座14度
- 子月(12月)…射手座14度~山羊座14度
- 丑月(1月)…山羊座14度~水瓶座14度
【春】
- 寅月(2月)…水瓶座14度~魚座14度
- 卯月(3月)…魚座14度~牡羊座14度
- 辰月(4月)…牡羊座14度~牡牛座14度
【夏】
- 巳月(5月)…牡牛座14度~双子座14度
- 午月(6月)…双子座14度~蟹座15度(遠日点で少し長い)
- 未月(7月)…蟹座15度~獅子座14度
【秋】
- 申月(8月)…獅子座14度~乙女座14度
- 酉月(9月)…乙女座14度~天秤座14度
- 戌月(10月)…天秤座14度~蠍座14度
こうして見ると、12サインと十二支月は約14~15度ずれています。
つまり、山羊座と子月の範囲を日付で表すと、
- 山羊座は、12月22日頃~1月20日頃
- 子月は、12月7日頃~1月6日頃
で、約14~15日のずれがあります。
これまでは、東洋と西洋の暦は別物だから、ずれるのは当たり前と思っていました・・・
ですが、四柱推命などで使われる暦をよく見ると、例えば「子」月の前半は、一つ前の「亥」月などの影響を受けていて、「亥」月の中盤以降に純粋な「亥」となるように思いました。
前半は変化の過程、中盤から確定、みたいな。
なので、「子」月の「カスプ*」を「子」月の「境界線と境界線の真ん中に配置したのかもしれません。(下図参照)
これが、約15度=約15日のずれになっている要因かもしれません。(あくまでも仮説です!)
西洋占星術のハウス・システムでいうと、アセンダント軸を1ハウスの始まりにする「プラシーダス」と、真ん中に配置する「キャンパナス」の違いに似ているかも??
上の12サインと十二支の図を比べてみると、春分・秋分・冬至・夏至点が、各領域のど真ん中にある十二支の図も一理あるなと思いました。
一年間のサイクル(12の月)を示す12サインと十二支は、カスプの配置が違うだけで、実は、東洋も西洋も、ほぼ同じなのかもしれません?
おそらく、季節を先取りする東洋は「変化の予感」に、現実を重視する西洋は「変化の顕現」に重点を置いていると言えるかも。(個人の考えです)
とにかく、12の月に関しては、東西どちらも四季のサイクルに拠っている点は共通しているのだなと、結構すっきりしました~
★十二支は十干とともに、年、日、時間にも使われていて、また別のサイクルがあるのだと思います。何千年も前から連綿と継承されてきた暦は興味深いです。
*カスプ(尖点)は、本来、その象意が最も強い点(ピーク点?)を表し、境界線とは別なのだそう。現在は、多くのハウスシステムが境界線をカスプに定めているため、同義語になっているとのこと。
西洋占星術との共通点~アスペクトについて~
四柱推命には、西洋占星術のアスペクトによく似た「刑・冲・合」があります。
それらは、十二支が互いに協調的に働くか、否定的に働くかを表しています(どう働くかは他の要素も考慮する必要があるそう)。
冲…オポジション
例えば、「冲」は交戦状態を示していて、西洋占星術でいうとオポジションにあたります。
これはわかりやすいですね。
三合…グランドトライン
「三合」は3つの支が集まって連合軍をなし、ひとつの強烈な個性を発揮し重要な影響力を行使します。西洋占星術でいうとグランドトライン。
どのような個性を発揮するかは、連合軍のリーダーである「子・卯・午・酉」が司ります。西洋占星術でいうと、これらのリーダーは活動宮にあたります。
興味深いのは、寅-午-戌の三合です。そのリーダーである「午」は「火」を表すため、この三合は「火」の連合軍となります。
ですが、12サインでいうと「午」は蟹座にあたり、この三合は「水」サインのグランドトラインです。
なので、この三合は、西洋占星術では「水」の感情的なつながり、東洋占術では「火」の熱い活動力という対比となり、面白いと思いました。
(実際、蟹座生まれはパワフルな方が多い印象はあります。)
東洋占術は、北半球での季節感に深く関わっているのですね。
支合…支配星が同じ
「支合」は、互いに協調し、力を与えあう十二支の関係です。
対応する12サインを書き込んでみましたが、一見、西洋占星術のアスペクトとは無関係のように見えます、、
そこで、それぞれのサインの支配星を見てみると・・・
支合となる12サインの支配星が共通していることがわかります。
例えば、「子月と丑月」は「山羊座と水瓶座」に対応し、それらの支配星はどちらも土星です。(太陽と月はライツとして共通)
ですが、支合は西洋占星術のアスペクトとしては、30度、90度、150度で、「互いに協調し力を与え合う」という感じではないですね。
ここで、支合のラインの引き方を少し変えてみました。
各十二支の境界線の始まりと始まりを結んでみると、
冬至・夏至の軸に対して、垂直のラインが現れました。(アンティシア的な*)
支合の月については、各月の始まり⇔冬至(夏至)の時間間隔がほぼ同じ、という関係でしょうか。
例えば、「亥」月と「寅」月は、
「亥」月の始まりから冬至までの時間
冬至から「寅」月の始まりまでの時間
がほぼ等しいと考えられます。(どちらも約45日間くらい)
そして、「亥」月は射手座、「寅」月は魚座に対応していて、それらの支配星は共に木星です。
何だか話がややこしくなってきましたが、とにかく、西洋占星術(古典も含めて)と東洋占術には何か深い関係があるのでしょう。
支合の関係について、四柱推命では「互いに力を与え合う」としていることは興味深いです。
*アンティシアとは、蟹座-山羊座軸の反対側にあって鏡像の位置関係を示す。互いに関連を持ち影響を与え合うとされる。ただし、西洋占星術におけるアンティシアは、射手座-山羊座、蠍座-水瓶座、天秤座-魚座…となり、上記のペアとはずれがある。これは、12サイン・十二支の境目の定め方の違いによるのかもしれない。
刑…スクエア
刑の関係にあると、一方が他方を傷つけるという意味があります。これも他の要素を考慮する必要があります。
この刑は変則的ですが、活動宮、不動宮、柔軟宮のスクエアやTスクエアの組合せが基本にあるようです。
・・・
以上、結構共通点があって興味深いですね~
おまけ~お盆の話~
お盆は、一般的に、関東では7月13日~16日、関西では8月13日~15日と言われています。
ですが、つい最近、本来お盆とは夏の終わり頃の満月の日だったという話をきいて驚きました。
月の満ち欠けに基づく旧暦(太陰太陽暦)では、毎月1日が新月で14~17日が満月になるのだそう。
なので、旧暦の7月15日頃は毎年満月だったのです。
お盆とは、夏の終わり頃、満月の光の中で先祖に思いを届ける日だったのでしょう。
ちなみに、今年(2024年)は8月20日が満月、旧暦の7月17日でした。水瓶座の満月でしたね~
(8月の満月は、水瓶座か魚座の満月になりますね。)
前日の夕方、私は、海外に帰る娘が乗った飛行機をデッキで見送っていました。ほぼ満月に近づいていた頃です。
先祖に思いを届ける日に、空に向かって家族の無事を祈っていたのだな~と不思議な気持ちになりました。
何となく行事化した現在のお盆に比べて、昔のお盆が「満月の日」だったというのは、とてもしっくりきます。
そして、個人的には、旧暦のお盆を採用しようと思ったのでした(笑)
・・・・・
後記:
東洋の暦は科学的ではありませんが、春・夏・秋・冬、木・火・土・金・水で構成され、自然の働きと深く結びついていて、体感としてわかりやすいと思います。
ところで、四柱推命で私の日柱の干支は戊辰です。戊は「山」を表し、冬生まれなので「冬山」です。そこで思い出したのですが、占い師名がなかなか決まらず、ぼーっと夜明けの空を見ていた時に、ふと故郷の「伊吹山」を思い出し、「伊吹」に決めました。で、伊吹山の私のイメージは「雪を頂いた姿」なのです。まさに「冬の山」だな~と後に納得したのでした。
コメント