鬼滅の刃と占星術~無惨の魅力~

最近、友人が『鬼滅の刃』を全巻貸してくれて一気に読みました。難解な漢字の羅列に圧倒されつつ、作者の吾峠呼世晴さんの発想力と語彙力に驚嘆しました。。(以下、ネタバレあり、ご注意ください!!)

吾峠さんは女性とのことですね。昔話や神話のような「善vs悪」のヒーロー物語の中に、家族や師弟関係の中で誰もが経験する感情も描かれていて、そこにぐっときます。それ、わかる~という感じです。

「愛されたい」「必要とされたい」「認められたい」というのは、人間の原初的欲求で、それらが満たされない痛みから逃れようとすることが、人間のドラマの始まりなのでしょう。

老若男女を問わず人気が出たのもうなずけますね。

『鬼滅の刃』について、作者のホロスコープを拝見しながら独断と偏見と妄想で分析してみました。

次は吾峠さんのチャートです。(ウィキペディアより、出生時間は不明)

1.『鬼滅の刃』というタイトル

作者のチャートには、【蟹座の火星】と天王星のオポジションがあります。私はこれを勝手に【鬼滅アスペクト】と呼んでいます(笑)。注目は蟹座の火星ですね。天王星がそれを激化しています。

さらに、チャートには表示していませんが、火星にキロン(傷ついた癒し手)がコンジャンクションです。

火星は「戦う」「攻撃する」、蟹座は「守る」「育てる」という、相反する要素を表します。その矛盾は、鬼殺隊が人々を「守る」ために「刃」を使うという部分に表れていると思います。弱さを強さに変えるのですね。心の中で涙を流しながら刀を振り下ろす、というイメージです。

鬼滅の刃のキャッチコピーは『これは、日本一慈(やさ)しい鬼退治。』だそうです。納得ですね。

(蟹座の火星は、古典ではディグニティが低いと言われていますが、その表現として箱根駅伝監督の火星とディグニティについてに書いています。よろしければお読みください!)

十二鬼月にも、蟹座の火星っぽいな~と思った鬼がいます。猗窩座です。

こんな台詞が印象に残っています。

「守る拳で人を殺した」

「きっと治す、助ける、守る・・オレの人生は妄言だらけだった」

最後は、「おれが一番殺したかったのは・・・」と言って自分にその刃を向けます。。

鬼と化した背景を知ると、そりゃあ、鬼にもなるなと思わずにはいられません。

2.『竃門炭治郎』という名前

作者のチャートでは、牡牛座3天体、山羊座3天体で【地】エレメントが多く、【火】エレメントの天体はありません。欠如しているエレメントは、それを過剰に補おうとるする反応が起きやすく、結果として突出した特徴になることも多いです。

炭治郎の仕事は炭づくりですが、『竃門炭治郎』という名前からは、旺じ過ぎた【地(竃)】とのバランスをとるために【火】を生み出し、燃やし続ける必要があった。その結果、『炭』ができた・・というイメージが浮かびます。こじつけですが(笑)

『炭』は「固定の火」=獅子座で、自らの内側で燃え続ける情熱を表します。牡牛座の太陽・月ー蠍座の冥王星に対してスクエアとなり、変化を与え解決に導きます。

【火】といえば、映画化された『無限列車編』に登場した煉獄杏寿郎『炎柱』であり、「心を燃やせ!」という熱いセリフがとても印象的です。作者は、心を熱くする必要があったのかもしれませんね。

煉獄さん、かっこよかったですね~

『鬼滅の刃』が『Demon Slayer』というタイトルで海外でも大ヒットしてるのは、コロナ禍で人々が渇望していたものにピタリとハマったのでしょう。人々を喰らう鬼と戦いながら強さと優しさを忘れない炭治郎や柱たちと共に、心を熱く燃やしたのですね。そこに国境はありません。

3.大ヒットの理由は?

太陽と月が牡牛座で、蠍座の冥王星とオポジションとなりパワーアップされています。さらに、太陽は牡牛座15度(数え)で土の元素のピーク点にあり、ビジネス展開やお金の頂点を表しています。

『鬼滅の刃』は本、映画、グッズなど記録的に大ヒットし、莫大なお金を生み出していますね。

そして、太陽ー月ー地球ー冥王星は一直線上に並んでいて、この世のものではない影響を現実世界に持ち込む感じです。外宇宙との通路になっているのかも?

(ヒットの現実的理由として、コロナ禍という【時代のタイミング】は大きいですね。これは冥王星的めぐり合わせとしか言えないように思います。。)

あるいは、この冥王星は【鬼舞辻無惨】と言えるかもしれません。

無惨は、人を食らい取り込んで自らの力を増していきます。また、自分の血を相手に注入することで鬼として再生させ、身体・感情・思考の全てをコントロール下におきます恐怖による支配です

無惨がラストのあたりで鬼殺隊のことを表現している言葉も、冥王星的です。

「害虫ども 潰しても潰しても死なない 湧いて湧いて何度でも立ち上がる・・・」

それ、自分(無惨自身)のことでは?と思いながら読んでいましたが。そう言えば、無惨や鬼の弱点は日光で、冥界の生き物というイメージにあっています。

無惨が強大であるほどに、鬼殺隊の潜在能力が覚醒していくのも冥王星的な影響力です。

4.人間の苦しみの根幹を描く

世代アスペクトである、山羊座の【土星(形)】【海王星(幻)】のコンジャンクションは、あらゆる天体の組合せの中で最大の矛盾を表していると言えます。

この組み合わせは私のチャートにもあるので、結構思い入れがあります(笑)。

土星と海王星には、「砂の城を何度作っても波にさらわれる」、「飴とムチのコントロール」、「夢をみたあとに、突然奈落の底に落とされる」、「心から欲っするものが指の間からこぼれ落ちる」という混乱・迷い・失望のイメージがあります。

それは『恐れ』や『自信の喪失』につながるのでしょう。

なので、土星と海王星の組合せはとくに、心の弱く醜い部分をえぐりだす作用があるように感じます。

十二鬼月は、人間の心の奥底の、ありとあらゆるドロドロとしたもの・・怒り、嫉妬、憎しみ、欲、愚かさなどを表しています。言い換えると、人間の「集合無意識」が様々な【鬼】の姿で描かれているように思います。

そして、「鬼」になることは、痛みから逃れるための「現実逃避」と言えるかも。

私たちは嫌悪感を持ちながらも、どこか鬼に共感してしまうのではないでしょうか?

私は上弦の壱の鬼、黒死牟(こくしぼう)の

「私はただ縁壱になりたかった・・」というセリフにぐっときました。

この世で、過去から未来永劫一番憎んでいたはずの相手(弟)を、実は誰よりも愛していたのだな、と。

土星と海王星の『統合』とは、私たちが現実と呼んでいるものは、実は思い込みによる『幻想』の一つの表れに過ぎない、ということに気づくこと。そして、その混乱を通して今まで考えていたものとは違う『現実』を生きようとする道筋なのだと思います。

単行本最終巻の無惨と炭治郎のやり取りは、「”真実を見ようとする自分”と”妄想の自分”との対決」、とも言えます。

『現実』は見方によって七変化するもの。じゃあ自分はどんな現実を生きたいのか、ということですね。

(吾峠さんが生まれた1989年は、3月、5月、11月に土星と海王星のコンジャンクションがあり、11月にはベルリンの壁が崩壊しています。ベルリンの壁という『現実』は、実は『幻想』の一つの表れであり、人々の集合無意識が変化したときにそれは突然『消失』したと言えるのでしょう。)

5.四つのエレメントと【ヒノカミ神楽】

鬼殺隊のメンバーはそれぞれの呼吸法を持っています。大まかに、水、炎、風、岩、雷などがあり、占星術でいう火地風水の全てのエレメントが揃っています

また、炭治郎が最後に修得した【ヒノカミ神楽】【日】の呼吸であり、それは”はじまりの呼吸”と言われています。そして【日】の呼吸には十二の型があり、その中の【円舞】と【炎舞】をつなげて環にして繰り返すと、新たな十三番目の型となるのだそうです。

これは、占星術のホロスコープの構造である、螺旋状に循環する12のサインに似ていますね。偏りなくすべての要素を取り入れ続けると、そのバランス点に新しいものが生まれる。【日】とは中心の太陽であり、12種類の舞を繰り返すことで太陽に到達する、というイメージを持ちました。

よくできてますね~。

6.【双子座の水星】と【牡牛座の金星(ペレグリン)】

双子座の水星は、やはり~!という感じ。発想力や情報量の多さ、バラエティの豊かさはピカ一です。

双子座5度(数え)のサビアンは「過激な雑誌」。情報を刺激的なものに変えて冒険する度数で、そのまんまですね。

また、牡牛座は五感を表します。炭治郎の同期5人組は、それぞれ視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚(消化力)などの五感(&第六感)に優れています。そして、できるだけ五感を抑えることで「透き通る世界が見えるようになる」と炭治郎は言っています。五感にフォーカスしそれを越えようとするところが、牡牛座金星らしいなと思います。

牡牛座23度(数え)のサビアンは「宝石店」。様々な神話的結晶を今風に表現してショーケースに展示している感じでしょうか。

7.無惨の魅力

最後は無惨で締めくくりたいと思います。超個人的感想です。(超ネタバレ注意!!

「炭治郎、行くな!私を置いて行くなアアアア!!」炭治郎に向けて言った最後の言葉に、無惨の真実を見た気がしました。初めて本当の思いを表現した瞬間だったように思います。物語は一件落着しましたが、無惨の輪廻転生の物語はそこが始まりのように感じられました。

無惨は最後、自身を日光から守るために胎児のような姿になります。

その姿から連想したのは、愛されたいという『インナーチャイルド』であり、もっと言うと、望まれることのなかった無数の赤子の思いの塊です。妄想、失望、恐れ、怒り・・など、人生のドラマを左右するのは、誰の中にも存在する、この赤子の存在(象徴として)なのだろうと感じました。

とにかく、鬼舞辻無惨が不屈で、気味が悪く、ダークで、悪であればあるほどに、物語はより一層おもしろくなるのだと思います。『鬼滅の刃』が大ヒットしたのは、無惨のお陰と言っても過言ではないかも。。

おまけ~テーマソングの作者、LiSAさんとの二重円~

吾峠さんの【鬼滅アスペクト】(蟹座の火星と天王星のオポジション)にLiSAさんの太陽ー海王星がのっています。やはり!です。『日本一慈しい鬼退治』に光をあてて音楽にしたのですね~。

そして、作者の土星と海王星の合には、LiSAさんの蟹座の水星(と火星!)がオポジションです。喪失の哀しみや絶望に共感し寄り添うような言葉で伝えようとしたのですね。

あとは、作者の木星に、LiSAさんの土星と金星のオポジションがのっていて、ビジネスとしてお金になる、といったところでしょうか?

やはり、社会現象を起こすほどの相性は、お互いのホロスコープにおいても、『肝の部分』がしっかりと関わっているのだなと納得でした!

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