オリンピック振り返り第二弾。今回は以前から注目していた空手女子「形」のお二人を取り上げます。
空手「形」は今回新たに取り入れられた”仮想の敵を相手に攻撃と防御を一連の流れとして組み合わせた「演武」で技の正確さや力強さなどを競う”競技です。(NHKオリンピックサイトより)
初めてその演武をみたときには、そのすさまじい迫力と一瞬にして会場の雰囲気を変える様子にただ圧倒されたのですが、彼女らのチャートを見て納得。
チャートは、言葉に表すことのできない、甲乙つけがたい彼女たちの演武をわかりやすく表現していました。
NHKのサイトで、二人を比べている動画がありましたので拝借しました。(個人の動画の方が、その雰囲気は伝わりますが。)
以下、お二人のチャートとトランジット、そして最大のライバルとしてのシナストリーに注目してみます。
二人の出生図
まずは、銀メダルを獲得した清水選手のチャートです。(データはWikipediaより。出生時間は不明)
清水希容選手の出生図
- まず、射手座のステリアム
- そして射手座の太陽と火星がコンジャンクションで、乙女座の月がスクエア
- 土星と冥王星・水星がスクエア
- 蠍座の木星がノーアスペクト
射手座のステリアムを乙女座の月がきっちりと引き締めている感じですね。「スピード」と寸分違わぬ「正確さ」。理想を追い求める高い「精神性」。
強い「信念」と大きな「努力」。
清水選手の演武からは、「射手座の切れのよいスピード」と「乙女座の端正な感じ」の両者が感じられて、そのスクエアを両立させる一例として参考になります。
次は、金メダルを獲得したサンドラ・サンチェス選手の出生図です。 (データはWikipediaより。出生時間は不明)
サンドラ・サンチェス選手の出生図
- 天秤座のステリアム
- 天秤座の冥王星(水星、木星)に牡羊座(多分)の月がオポジション
- 乙女座の太陽と海王星がスクエア
- 獅子座の火星(オリエンタル)と蠍座の金星がスクエア
バランスと力強さ。人に魅せる闘争心。人々の夢を引き受けてかなえる(ヒーロー的な)。美的パフォーマンス。
清水選手とは趣が異なりますね。
清水選手・・・射手座ステリアムに乙女座の月
v s
サンチェス選手・・・天秤座ステリアムに牡羊座の月(多分)
でも、サンチェス選手の太陽は乙女座で、緻密に「整った」感じが共通しているのが興味深いです。
また、二人とも水星と冥王星がコンジャンクションで、極限まで突き詰めて考える傾向があるのかもしれません。
お二人のチャートを見たあとでその演武をみると、さらに楽しめると思います!(マニアックですが・・)
次に、それぞれのトランジットをざっくりとチェックしてみました。
二人のトランジット
時期表示から具体的な結果を予測することは(おそらく)できませんが、実例は、本人がそこにどんな人生のドラマを共鳴させているのかがわかって、とても興味深いですね。
清水選手のトランジット
出生時間がわかれば、もう少し詳しい時期表示が出てくると思いますが。
- トランジット海王星が火星にスクエア (月にオポジション?)
- トランジット木星が土星にコンジャンクション
- まもなく土星回帰
- (世代アスペクトですが、トランジット冥王星が冥王星にセクスタイル)
- (同じく、トランジット海王星が海王星にセクスタイル)
清水選手はオリンピックの前に、なかな勝利することができずに悩んでいたそうです。減点の理由は「呼吸の音がめだつ」。そこを調整するのにとても苦労したそうです。
試合後のインタビューで「ここまでくるのにとても苦しかったので、金メダルをとりたかった」と言っていました。呼吸の調整とは、とても微細なものなのだろうと想像します。
清水選手はまもなく土星回帰ですが、この時期(回帰前)は「まだ自分のことがよくわからない」ときなのではと思います。先生や親など、それまでに受けてきた指導のもとから抜け出しつつあるとき、とも言えるでしょうか。
そして、トランジットの木星が出生の土星を通過中です。
今回のオリンピックでは惜しくも銀メダルでしたが、今の枠組みを拡大する、あるいは新しい枠組を構築して次のステージへと向かうステップとなったのでは。
木星と土星のトランジットについて、Robeert Hand氏の『Planets in Transit』の解説が個人的に秀逸だと思ったので最後に引用しました。よろしければお読みください。*
サンチェス選手のトランジット
- トランジットの土星が出生の火星にオポジション(天王星がスクエア)
- トランジットの海王星が出生の海王星にスクエア、太陽にオポジション
- トランジットの冥王星が出生の冥王星にスクエア(出生時間によっては月にも)
出生図の太陽や火星に対して、納得の表示が出ていますね~。
火星と土星の組合せはスポーツでの活躍、海王星と太陽は夢の実現、それぞれ鉄板アスペクトと言えます。
また、いわゆる「中年の危機」の始まりで、海王星・冥王星どうしがスクエアです。(冥王星については、軌道が楕円であるため時代によってスクエアになる年代が異なります。)
Tr冥王星と冥王星のスクエアは「ダイヤをダイヤで磨くとき(by松村潔先生)」と言われています。ある分野で究極的に自分を磨き上げた結果、大きな成果が得られる可能性があるのでしょう。
ちなみに、松村先生は、Tr冥王星と出生の冥王星のトラインを「高木ブー氏とウクレレ」に例えて「本当にやりたいことができるようになる」と仰っていました。わかりやすいですね^^
清水選手は、Tr冥王星と冥王星がセクスタイルで、「変化の中の安定期」であり、自分の道を邁進しているときと言えます。
ちなみに、Tr海王星と海王星のスクエアは、妄想や過ちの危険性のなかで自分も知らない自分を知る可能性がある。大切なのは、真実を見ることを自分に許すこと、とRobert Hand氏は述べています。
海王星は、夢や麻酔で「人を痛みから解放して癒し」、夢から覚めたあとに「真実を知る」よう働きかけてくれるのでしょう。
サンチェス選手のミッドポイント
ここでサンチェス選手のチャートのミッドポイントについて少し詳しくみてみます。
出生図などに、重要と思われるスクエア、セミスクエア、(グランド)トライン、セクスタイル、あるいはステリアムなどがある場合、よくそのミッドポイントをチェックしています。
サンチェス選手の場合、①太陽と海王星のスクエア、②太陽と火星のセミスクエア、③太陽と天王星のセクスタイル/火星と土星のセクスタイル、④天秤座のステリアムに注目すると、以下の表示がありました。
①火星=太陽/海王星に、トランジットの土星が接触。
Tr土星=火星=太陽/海王星
これは結構強力ですね~。不屈の努力で夢をかなえる。
②太陽と火星のセミスクエアのMPに、トランジットの木星が接触
Tr木星=太陽/火星
スポーツに相応しい表示です。
③太陽と天王星のセクスタイルのMPに、トランジットの冥王星が接触
Tr冥王星=太陽/天王星
そして、火星と土星のセクスタイルのMPに、トランジット冥王星が135度(ハーモニック8)で接触
Tr冥王星=火星/土星
自己改革、究極の個性表現、不屈の努力など。強力なので何かに打ち込んでパワーを使うのがよさそうです。
④天秤座の四つの天体が等間隔に並び、いくつかのミッドポイントが成立していて緊密につながっています。(出生時間によっては月も関わる)
木星=水星/土星
水星=木星/冥王星
そして
水星/木星=土星/冥王星(=活動宮16度)でもあります。
さらに、最後のミッドポイントは、ハーモニック8でみると
太陽/火星(=柔軟宮1度)=水星/木星=土星/冥王星(=活動宮16度)
となり、トランジット木星が、これらのミッドポイントに同時に影響を及ぼしています。
行動力、適切な判断力、建設的な考え方、ハードワークによる目標の達成。それらを実現すべく、木星が強力にサポートしてくれたのでしょう。木星は努力に対してしっかりと報酬を与えてくれます。
複数のミッドポイントが重なっている度数域は、出生の天体がそこに接触していなくても重要であると考えられます。ステリアムがある場合などチェックしてみるとよいですね。
トランジットまとめ
今年は土星と天王星のスクエアが3回形成され、固定宮7度~13度前後が強調されているので、やはり、その度数域に個人天体、もしくは個人天体に絡む遠い天体がある選手の活躍をよくみかけます。
空手「形」の採点は素人目にはわかりませんが、お二人の演武をみていて、清水選手はフレッシュな勢い、サンチェス選手は熟練した力強さの印象を受けました。
なので、土星回帰を過ぎた清水選手と、さらに円熟味を増したサンチェス選手の今後の戦いを楽しみにしたいと思います。
ライバルとしてのシナストリー
お互いに最大のライバルであろうお二人のシナストリーをみてみました。やはり、お互いの”肝”に重要な天体が関わっています。
清水選手とサンチェス選手の二重円その①
- 清水選手の太陽・火星・(月)に対して、サンチェス選手の太陽・海王星
- 清水選手の冥王星・水星・土星に対して、サンチェス選手の天王星
二重円その②
- サンチェス選手の木星・冥王星・水星・(ノード・月)に対して、清水選手の海王星・天王星
- サンチェス選手の金星・火星に対して、清水選手の木星
ライバルはもう一人の自分
サンチェス選手の太陽と清水選手の月がコンジャンクションで、清水選手にとってサンチェス選手は目標なのかもしれません。
特に注目したのは、お互いの冥王星(と水星)にお互いの天王星が合あるいはスクエアであることです。冥王星ー天王星のコンビは「革新への抗いがたい衝動」であり、ライバルとしては最強の組合せの一つでしょう。
アスリートにとって「挫折や敗北」は最大のモチベーションだと思いますが、それに匹敵するのが「ライバルの存在」と言えます。
自分の中の目標が高ければ高いほど、目の前にそれに相応しいライバルが現れるのでしょう。
無意識の働きで言うと、目指す自分になるために、自分の外にその目標に敵う相手を出現させて、自分を鍛え上げるのです。つまり、ライバルはもう一人の自分です。
そして、ライバルが強力であればあるほど、自分の中の目標が高いということなのでしょう。
清水選手がサンチェス選手に挑み続ける様子は、自分が目指す高みにに向かう過程なのですね。
シナストリーチャートを見ていて、ふか~く納得したのでした。。
おまけ・・空手「形」~木星と土星~喜友名諒選手のチャート
次は空手「形」男子金メダリストの喜友名選手のチャートです。(データはWikipediaより。出生時間は不明)
- 蟹座の太陽・木星に山羊座の土星がオポジション
- 牡羊座の火星が水星とスクエア、冥王星とクインデチレ
蟹座と山羊座のオポジションで、伝統をしっかりと継承している感じですね。そこに海王星が絡み、魚座の月で、迷いや失望の末に夢をつかみとるのかもしれません。
喜友名選手は牡羊座の火星で演武での迫力は納得ですが、空手女子のお二人もそれぞれ射手座、獅子座の火星で、3人とも火星が「火」のサインでなるほどですね。
ここで、3人の木星と土星に着目してみました。
サンチェス選手は、天秤座の木星と天秤座の土星が合
喜友名選手は、蟹座の木星と山羊座の土星がオポジション
清水選手は、木星と土星のミッドポイントが牡羊ポイント(山羊座0度)
木星と土星は時代を形作ると言われていますが、「形」金メダリストのお二人が木星と土星の合とオポジションのときに生まれていることは興味深いですね。
・・・
最後までお読みくださりありがとうございます!
以下、文中に紹介した「トランジット木星と出生の土星の合」についての解説文です。私はこの文章を読んで、まるでカウンセリングを受けたように感じた経験があります。よろしければお読みください。
* トランジット木星 合 出生の土星
このトランジットでは、自分自身の抑制や自制、状況による制限と向き合うことになります。今までできなかったことができるよう、行動範囲を広げるために、それらから抜け出したいと思うかもしれません。逆に、制限の中で成長し、その制限を利用して人生を拡大することもできます。どちらに転ぶかは、あなたの気質に大きく左右されます。そして、一般的にはどちらの方法が良いとは言えません。自分の人生にとって何が適切かにかかっているのです。
抜け出そうとして反応すると、とても落ち着かない気持ちになるでしょう。できごとや状況は、あなたがしなければならない多くのことを怠ってきたことを明らかにし、あなたを束縛してきた人生の構造は、耐え難いものになるでしょう。長年我慢してきた責任や煩わしい仕事、あるいは既成概念を打ち破ることへの恐怖心などの障壁を受け入れられなくなります。その結果、このような反応が出た場合、それは多くの場合、新しい自由へと飛び出していく時期であると言えます。転職や住居の変更、人間関係の断絶などを伴うこともあります。このような変化は、他の人には破滅的に見えても、本人には非常に幸運で、すべてがうまくいくことが多いのです。
2番目の方法で対応する場合、自分の人生を拡大し、新しい自由を見つけようとしますが、さまざまな理由から、そのために人生の構造を覆すことはしません。代わりに、あなたは新しい構造を構築し、既存の秩序を拡大するためのあらゆる機会をつかむでしょう。例えば、あなたがビジネスをしているのであれば、この時期を利用して、慎重に慎重を重ねて拡大していくことができるでしょう。無理をせず、自分の中でも外の世界でも、今築き上げたものは長続きするでしょう。前者の反応は、焦りや落ち着きのなさが特徴ですが、こちらは非常に忍耐強く慎重です。
最後に、このトランジットに対するあなたの反応は、その時のあなたの生活状況によって決まります。生活の中に多くの緊張があり、自分を十分に表現できない場合は、第1の反応になりそうです。逆に、人生がそれなりにうまくいっている場合は、2番目の方法で反応する可能性が高いでしょう。
『Planets in Transit』 Robert Hand より引用
参考:DeepLによる翻訳
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