3月に入りましたがまだまだ寒い日が続きますね。
先日、トランプ氏が「壁建設のための非常事態宣言」を発表したことで、「壁」というキーワードがとても気になってきました。
2020年1月に、山羊座22度で 冥王星 合 土星
2020年12月には、水瓶座0度で 土星 合 木星
という大きな節目のトランジットがありますが、この「土星 合 木星」は『ベルリンの壁』が建造されたときにも起こっています。
そこで『ベルリンの壁』の建設・崩壊を振り返りながら、現在~近未来の「壁」について占星術的に考えてみました。
結局、「壁」とは人々の潜在意識の現実化なのだなと思います。
『ベルリンの壁』建設から崩壊への大まかな経緯
『ベルリンの壁』は1961年から1998年までの約28年間、西ベルリンの周囲を取り囲み、東ドイツ側から完全に遮断するために造られました。全長およそ155㎞、非常に巨大な壁です。
『ベルリンの壁』は、造られたときも崩壊のときも、ある日突然のできごとでした。
『ベルリンの壁』の建造
第二次大戦後、世界が西側(資本主義)と東側(共産主義)に分断された冷戦時代、東ドイツでは、社会主義体制への不満から、1949年から1961年までの13年間でおよそ270万人の市民が西側に流出したと考えられています。その多くは東ドイツの経済を支えている重要な人口層でした。
(首都ベルリンは東ドイツの中に位置したため、東ドイツの人々は民主主義の西ベルリンを目指しました。)
東ドイツ国民の脱出を防ぐため「東西ベルリンを隔てる国境を強化する目的で何かが始まる」という噂が広まっていた1961年6月15日、ヴァルター・ウルブリヒト(当時の国家評議会議長)が、「西ベルリンを囲う計画などない」と強く否認。にもかかわらず、その約2か月後に突如として「壁」が現れたのです。
『ベルリンの壁』が作られたのは1961年8月13日0時。コンクリートの支柱に有刺鉄線が張り巡らされ、一夜にして通信も交通もすべて封鎖されました。壁は、その後20年かけて最終形態となります。
(20年後の1981年には、天秤座で木星と土星のコンジャンクション(風の時代の先駆け)が起きています)。
つまり、8月12日の夜にどちら側にいたかで、その後約28年間の運命が決まったのです。家族や親戚にも会うことができなくなってしまいました。翌朝のベルリン市民の驚きは想像を絶するものがありますね。
その後、『ベルリンの壁』の東側に近づく者に対して「国境警備員は警告なしに射撃しても良い」とされ、200名前後の人々が射殺されたと考えられています。
『ベルリンの壁』の崩壊
1988年~1989年、ヨーロッパで共産主義体制が崩壊し始めると、『ベルリンの壁』は建設のときと同じように突然崩壊しました。
1989年11月9日夕方、東ドイツの政府関係者ギュンターシャボフスキーが、東ドイツ国内および世界向けに放送された生放送での記者会見で「東ドイツ国民はベルリンの壁を含めて、すべての国境通過点から出国が認められる」と誤って発表します。
*本来は「11月10日からの旅行許可に関する出国規制緩和」であったのを、混乱の中、会議の内容をよく把握していなかったシャボフスキーが勘違いした。
さらに、記者からの「いつからですか?」の質問に「私の認識では『直ちに、遅滞なく』です。」と誤って答えます。
これが引き金となり、東ベルリンの人々が検問所に殺到、歓喜の中で『ベルリンの壁』を破壊し始めます。
『ベルリンの壁』崩壊がきっかけとなり、1990年10月3日、東西ドイツは統合されてドイツ連邦共和国となりました。
ここから占星術のお話
まずは『ベルリンの壁』について
『ベルリンの壁』ができる半年前に、土星と木星の「グレート・コンジャンクション」が山羊座で起きています。
・1961年2月19日(壁が造られる半年前)
土星 合 木星(山羊座25度)
このとき、
ノースノード(ドラゴンヘッド)合 冥王星(乙女座7度)
ノードは大衆を表し、冥王星はその集合無意識を掘り起こします。国や人々の意識の間にあった大きな溝が公になる感じでしょうか。
・1961年5月10日、土星が山羊座29度で逆行開始
・1961年8月13日(壁の建造当日)
水瓶座に入っていた木星が逆行して山羊座に戻る(山羊座29度)
ある朝突然に壁が造られていて、多くの市民の運命を決定づけました。各サインの最終度数は「サインの吐き出し」と言われていて、木星が逆行して山羊座に戻ることで、壁建造の計画が一気に浮上したのかもしれません。
【各サインの29度と天体の逆行についての参考記事】
(建造から28年後)
・1989年11月9日午後7時10分(記者会見でのシャボフスキーの決定的発言の時刻)
(発言のときの時刻は「7時過ぎ」とあったので7時10分としました。ウィキペディアより)
土星・海王星(山羊座10度)衝 木星(蟹座10度)
各サインの11度(数え)は【テンションの高い実験性】
・・・純粋なチャレンジ精神が現状を打破したいという改革的姿勢となって現れる。
天王星(山羊座2度)
非常に正確なアスペクトが形成されています。
海王星は土星の枠組みを緩めてぐらつかせます。その基盤の緩みを木星がさらに拡大します。民主化への世の中の大きなうねりに、旧体制の象徴である「壁」は耐えられなくなり崩れ落ち、世界中が歓喜に沸きました。
*海王星が関わっていて、「勘違い」や「確認ミス」がきっかけとなっているところが興味深いです。
そして、「壁」建造の頃に土星とコンジャンクションであった木星は、崩壊時には土星とオポジションの位置にきています。やはり、この組み合わせは社会構造の具体的な変化を示しているようです。
さらに革新の天体である天王星も山羊座に入っていて、政治的革命を表しています。
壁の建造の時に山羊座にあった土星が、崩壊の時には12サインを一回りして山羊座に戻ってきています。人間でいうと土星回帰(サタンリターン)、人生の転換期ですね。
現在から近未来の「壁」について
現在トランプ氏が「壁の建設」を声高に叫んでいますが、今は『ベルリンの壁』が崩壊してから29年、ふたたび土星が山羊座に戻ってきています。次の土星回帰です。
ここで重要だと思うのは、
現在アメリカとメキシコの国境の「壁」が注目されていますが、実は、世界のいたるところに「壁」は作られていることです。「壁」の建設はグローバルなテーマであり、「他者」や「よそ者」に対する現代の人々の集合無意識を象徴しているのでしょう。
今後の天体配置やその度数が、『ベルリンの壁』のときと少し似ているので以下にあげてみます。
① 冥王星 合 土星まで
・2019年2月15日(トランプ氏による「非常事態宣言」発令)
土星は山羊座16度
天王星(牡羊座29度)合 火星(牡牛座0度)
*火星が水・土の固定宮(蠍座・牡牛座)に入るときはその人の最もその人らしい資質にスイッチが入るので、よく考えてみると良い(by松村先生)。非常事態宣言発令がトランプ氏の資質をよく表していると言えます。
・2019年3月6日
天王星が(完全に)牡牛座に入る。
牡牛座の象徴の一つに「お金」がありますが、お金の使い方(予算など)に驚きごとがあるのかもしれません。
・2019年3月末から4月にかけて
サウスノード(ドラゴンテイル)合 冥王星(山羊座22~23度)
集合無意識が掘り起こされる。
*『ベルリンの壁』建造の半年前にも起こっています。現在埋もれている何かが大きな規模で明らかになりつつあるのでしょうか。
・2019年6月17日、9月22日
海王星(魚座18度、16度)スクエア 木星(射手座18度、16度)
相手への同調か自分の信念か。感情か正義か。何を軸として決断すべきか迷いながらも、社会のムードはある方向に加速度的に盛り上がっていくのでしょうか。
噂や誤解が拡大していく可能性。
・2020年1月12日
冥王星 合 土星(山羊座22度)
山羊座23度(数え)のサビアンシンボルは「戦争での勇敢さを称える二つの賞」
・・・競争の中で質の高いものを作りだせる。
社会の枠組みや組織は何らかの損失や痛みを伴いながら根底から変容します。競い合いを通して、これからの時代に対応し得る優れたものに一新されるのでしょう。
② グレートコンジャンクションまで
・2020年4月5日、6月30日、11月12日
冥王星 合 木星(山羊座24度、24度、22度)
山羊座25度(数え)のサビアンシンボルは「東洋の布を扱う商人」
・・・異質な文化やよそにある文化を取り入れることで共同体が新陳代謝を起こす。
山羊座23度(数え)のサビアンシンボルは「戦争での勇敢さを称える二つの賞」
・・・競争の中で質の高いものを作りだせる。
異質な文化を取り入れお互いに磨き合うことで、社会のムードが刷新されます。未来への展望が大きく開かれていくでしょう。
・2020年12月22日(冬至の翌日)
土星 合 木星(水瓶座0度でのグレート・コンジャンクション)
水瓶座1度(数え)のサビアンシンボルは「古いレンガ造りの伝道所」
・・・世界中に拡大していく普遍的な理念性への始まり。山羊座の「限られた場」を超越して広く理念を拡げていく。
社会の枠組み(土星)やモラル(木星)が新しく形作られ、社会体制やムードが大きく変わるでしょう。
水瓶座は自由、平等、人道主義、普遍性、理念、革新。
強固な建造物による「壁」は、お互いの自由を尊重した共通理解による(形なき)境界に変わり、その「考え方」は世界のあらゆる場所で応用されるのかもしれません。
太陽は山羊座1度(数え)で、サビアンシンボルは「認識を求めるインディアンの酋長」。この体制で行くことを宣言しているかのようです。絶妙なタイミングですね!
水瓶座でのグレート・コンジャンクションが示す可能性
土星と木星の周期を思いだしてみると、
・土星は約29年で黄道を一周して元のサインに戻ってきます。
・木星は約12年です。
土星と木星は約20年に1度会合しますが、土星と木星が同時にほぼ同じ位置に戻ってくるのは約58~60年。この約「60年」というのは社会体制の大きな一区切りなのですね。東洋占術でも60年は一つのサイクルですし、60歳は「還暦」といって、新たなスタートを意味します。
以前の山羊座での土星・木星のコンジャンクションは、
1842年に山羊座9度(数え)
1901年に山羊座14度(数え)
1961年に山羊座26度(数え)
で起きていて、ここで、山羊座的なテリトリーを主張するような社会体制が造られていったのでしょうか。
次回、2020年には水瓶座1度(数え)
となり、山羊座から水瓶座にに移動してのコンジャンクションに変わります。
『ベルリンの壁』が造られてから今年で58年、「今」を象徴する新しい社会が形作られようとしていて、これまでとは雰囲気ががらりと変わることが予想されます。
各サインの0度(数え1度)はそのサインのひな型であり、その特徴を最も純粋に表します。水瓶座0度でのグレートコンジャンクションは、「ザ・水瓶座時代の到来」を意味しているのでしょう。リアルな建造物の「壁」に代わるものは何でしょうか?
水瓶座にも色々な象徴があると思いますが、一つあげるとすれば全体からの視点でしょうか。自他を平等に捉えることができる。それは人間だけでなく動物や自然環境にまで及ぶのでしょう。その視点で他国との関係を考えたとき、「壁=他との関係」はどのようなものになるのでしょうか。水瓶座らしい革新的なアイディアが活用されるかもしれませんね。。
あとがき
・先日NHK番組「東京リボーン」シリーズの「巨大地下迷宮」の回で、2020年の東京五輪・パラに向けて空前の掘り起こしが進んでいる東京の地下についての特集を観ました。過密に入り組んだ地下世界で、最新鋭の機械とともに手作業で進められる気の遠くなるような過酷な作業には驚きの一言でした。。まさに、山羊座の土星・冥王星の象徴の一つだなあ、と思います。
・そして、江戸時代、町中に巡らされた流通ネットワークである石造りのお濠を作ったのは各地から集められた武士たちでした。各藩威信をかけての命がけのお濠作りは武士たちの新たな戦場のようでした。その工事が始まったのが1636年1月、まさに山羊座土星のときでした。
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