このところ、土星以遠の天体のサイン移動が続いています。
もしも、それらの天体が出生図にハードアスペクトを形成する場合、人生の重要なターニングポイントである可能性が高いでしょう。
ですが、、周りの人たちをみていると、出生図に対する目立つコンタクトがなくても、遠い天体のサイン移動に呼応するように、人生の重要なテーマに取り組み一歩ずつ前進している人が多いように思います。
今回は、土星や冥王星などのサイン移動が、全ての人々に何らかの影響を及ぼす可能性について考えてみました。(趣味的な内容&長文です~)

サイン移動が個人の人生に及ぼす影響について
まずは、個人の人生における試練と土星の関係性について考えてみました。
土星が示すこと
土星は、肉眼で見える一番遠い惑星と言われています。
そして、占星術においては父親的存在、現実面での制限や枠組、また、取り組むべき人生の課題などを示しています。
つまり、土星は、現実世界において最も遠く、到達するのに努力を要する境界線と言えます。
土星のイメージとして、重責、忍耐、義務、努力、重苦しさ、憂鬱さ、嫌だという感情、延々と続く山道、などが思い浮かびますが、
同時に、達成感、充実感、自信、熟練、信頼、盤石、不動、などのイメージもあります。
なので、土星は、人生における重要なテーマを示し、重圧や辛苦、大いなる反省と共に、一番の学びや喜び、ときには解放であったりもするのでしょう。
山羊座のハウス…人生で直面する困難
では、「困難」や「壁」として体験する人生の重要なテーマはホロスコープのどこに示されているのか?
土星は、山羊座と水瓶座(古典では)の支配星です。
なので、シンプルに考えると、まずは山羊座のハウスが最初の候補にあげられます。
(プラシーダスとホールサインハウスで、カスプが違う場合もありますが、まずはホールサインハウスで考えてみるとわかりやすいと思います。)
そのハウスが示すことが、人生において苦難を伴う、でも重要なテーマである可能性が高いです。
山羊座と言えば、冥王星が2008年に山羊座に入り、2024年11月に水瓶座に(完全に)移動しました。
なので、冥王星in山羊座の約17年間は、山羊座ハウスのテーマについての困難と大きな学びがあったのではないでしょうか。
特に、冥王星が山羊座の最後の5度を運行した2021年以降、重さが増していったと思われます。
この間は、ひたすら忍耐と努力、なかなか突破口が見つけられない、一難去ってまた一難、みたいな感じだったかもしれません。
(コロナ禍の時代でもありましたね。)
振り返ると、私たちは皆人生で最重要のテーマに取り組んでいたのかもしれません。
水瓶座のハウス…山羊座を越えて
2024年11月、冥王星は水瓶座に移動しました。
その頃、個人的には、何か動きを封じていたものが軽くなったように感じました。
重かったものがふっと軽くなって、一歩を踏み出せるような。
やっと動ける、みたいな。
土星が支配するサインのうち、山羊座は「抑圧、忍耐、常識、社会」を示し、そして、水瓶座は「開き直り、自由、非常識?、個々」を示していると考えます。
つまり、山羊座が支配するハウスから水瓶座が支配するハウスへ、人生の重要なテーマが移り、取り組み方も変わっていくのかもしれません。
なので、抑圧の中での反省と学び(=山羊座が支配するハウス)から、2024年11月以降は、一歩踏み出して身も心も軽くなって我が道を進んでいく(=水瓶座が支配するハウス)へと局面が変わっていったのかもしれません。
*2020年3月~2023年3月、土星は水瓶座を運行しました(一部期間を除いて)。この間、土星に関して言えば、抑圧からの解放としての行動が考えられます。2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は、土星の水瓶座的な表現だったと言えるかも?
土星が在住するハウス
もちろん、土星がどこのハウスにあるかも見る必要があるでしょう。
土星が支配するハウス(山羊座と水瓶座)とともに、土星が入っているハウスの意味もチェックしましょう。
そのハウスは、山羊座~水瓶座ハウスの影響を受ける「現場」と言えるでしょう。
先にも書きましたが、ハウスシステムは、とりあえずホールサインハウスがわかりやすいと思います。
12ハウスに関連する具体的なキーワードをあげてみました。
- 1ハウス:人生に対するアプローチの仕方、ペルソナ、容姿、からだ
- 2ハウス:お金、お金に対する態度・稼ぎ方・使い方、所有物、(自己)価値観
- 3ハウス:コミュニケーション、移動、兄弟、隣人、初等教育
- 4ハウス:ルーツ、家、基盤、不動産、過去、集合的無意識
- 5ハウス:創造性、遊び、自己表現、恋愛、こども、趣味、投機
- 6ハウス:勤労、ルーティン、健康管理、奉仕、ペット
- 7ハウス:パートナーシップ、契約、敵、投影
- 8ハウス:遺産、相続、生と死、性、親密な人間関係、変容、保険、投資、ローン
- 9ハウス:探求、海外旅行、高等教育、哲学、法律、宗教、信念
- 10ハウス:目標、野心、キャリア、社会的役割・地位、権威、親
- 11ハウス:友人、理想を共有するグループ、社会・政治活動
- 12ハウス:潜在意識、隠れた領域、秘密の敵、犠牲、慈善
★試しに、各ハウスを一つの簡潔なワードで表してくださいとChat GPTにリクエストしてみたら、次のワードをあげてくれました。

★★さらに、各ハウスの心理的な意味を簡潔なワードで表現してくださいとリクエストしたら、次のワードをあげてくれました。

そして、”さらに掘り下げた解説も可能ですので、必要があればどうぞ”とのことでした。
回答がちゃんとしてますね~!
(ちょっと話がそれてしまいました。。)
土星のサイン移動
次に、土星そのものに注目してみると、、
土星は、現在、魚座と牡羊座を(海王星とともに)行ったり来たりしています。
土星は山羊座と水瓶座の支配星なので、その動きは個人のチャートの山羊座と水瓶座のハウスに影響を与える可能性が考えられます。
つまり、冥王星の山羊座から水瓶座への移動とともに、土星の魚座から牡羊座への移動も個人の人生における困難・壁・重要なテーマに深く関わっているのかもしれません。
これまでの努力や成果、残された問題点など全てを洗いざらい出して(魚座)、本当にやりたいこと、必要なことの一歩を踏み出す(牡羊座)、という感じでしょうか。
(義務感や惰性、形骸化した権威は、できればここで流し去ります。)
山羊座から水瓶座への流れと、魚座から牡羊座への流れが、「土星」という現実世界での重要な天体を通してリンクしているように見えます。
現在は、全ての人にとって、それぞれの人生に関わる重要なときであり、社会にとっても今後を決める重要な局面であると言えると思います。
個人の実例
いくつか実例をみてみます。
トランプ大統領
トランプ氏はアセンダントが獅子座なので、ホールサインハウスで見ると、山羊座は6ハウスで水瓶座は7ハウスになります。
人生の中で取り組むべき困難なテーマは、6ハウス的な奉仕や責務・忍耐、そこからの突破口は、7ハウス的な人々の前に立つこと、でしょうか。
トランプ大統領の一期目とバイデン政権期間は、冥王星が6ハウス山羊座を運行中でひたすら忍耐、調整のときだったと言えるでしょう。
再選を果たした2024年11月には、冥王星が7ハウス水瓶座に完全に移動しました。そのタイミングで一歩を踏み出した感はあったかもしれません。
トランプ氏にとっての、冥王星の山羊座から水瓶座への移動は、大統領としての再デビュー(7ハウス)であり、今度は自分の思い通りにするぞ、という感じでしょうか。
ちなみに、ホールサインハウスで土星(蟹座)は12ハウスです。水瓶座7ハウスが活性化されることで、隠された領域が表に出てくるのかもしれません?
大谷翔平選手
ネット上の情報によると、大谷選手はアセンダントが水瓶座なので、ホールサインハウスで見ると、山羊座は12ハウス、水瓶座は1ハウスになります。
人生の中で取り組むべき困難なテーマは、12ハウス的な隠れた敵、夢みることなど目に見えない世界、そこからの突破口は、1ハウス的な自己像の確立、でしょうか。
冥王星は、2023年3月、2024年1月、11月の3回、水瓶座入りし、その間は山羊座(12ハウス)と水瓶座(1ハウス)を行ったり来たりしていました。
冥王星が最初に水瓶座に入った2023年3月は、その直前にWBCで優勝。映画を越えるストーリーと言われて日本中が盛り上がりました。
2023年12月、ドジャースへ移籍、2024年2月に結婚発表。
2024年3月、水原氏の賭博や詐欺が発覚。(3月20日当日、土星回帰でもありました)
2024年12月、真美子夫人の第一子妊娠を発表(2025年4月に女の子が誕生)
大谷選手にとっての、冥王星の山羊座から水瓶座への移動は、隠れていた大変な被害が明るみに出た(12ハウス)と同時に、公私ともに立場が大きく変化しより盤石になった(1ハウス)という感じでしょうか。
ちなみに、ホールサインハウスで土星(魚座)は2ハウスです。冥王星の山羊座から水瓶座への移動に伴い、お金を失い、お金を得る、という感じでしょうか?(その規模は常識を越えてます。。)
故フランシスコ教皇
フランシスコ教皇のアセンダントは蟹座10度(データはAAランク)なので、ホールサインハウスで見ると、山羊座は7ハウス、水瓶座は8ハウスになります。
人生の中で取り組むべき困難なテーマは、7ハウス的な人々の前に出ること、そこからの突破口は、8ハウス的な人々の内面に入り込むこと、でしょうか。
冥王星は2008年11月に完全に山羊座に入り、2024年11月に完全に水瓶座に移動しました。
フランシスコ教皇は、2005年、2008年11月に、アルゼンチン司教会議の議長に選出され、2013年3月~2025年4月21日に亡くなるまで、教皇として任務を全うされました。
2020年代以降は、高齢と激務も相まって健康状態が悪化し何度も入院されたそうです。
2020年は、冥王星とともに、土星や木星も山羊座を運行しています。
7ハウス的な激務により、オポジションの1ハウス(健康)への影響があったことも考えられます。
フランシスコ教皇にとっての、冥王星の山羊座から水瓶座への移動は、教皇として人々の前に立ち、困難を共にすること(7ハウス)から、人々の記憶の中で永遠に生き続けること(8ハウス)、と言えるかもしれません。
ちなみに、ホールサインハウスで土星(魚座)は9ハウスです。生涯を布教伝道活動に捧げられたと言えるでしょう。
人類の困難を振り返る
人々の人生における困難が集積すると、国や世界など、大きな規模で人類が直面する危機になります。
過去において、より多くの人々が困難に直面したできごとを、土星関連の切り口でチェックしてみました。
コロナ禍
一番最近では、2020年3月~2023年5月頃(WHOの宣言による)のコロナ禍がありました。
世界中の政治、経済、そして個人の健康や命、暮らし、仕事、人間関係など、日常生活全てに重大な影響を与え、社会構造や価値観が根本から揺さぶられた出来事でした。
この間、
- 土星…山羊座→水瓶座→魚座
- 冥王星…山羊座→水瓶座
また、
2020年1月、土星と冥王星が合(山羊座22度)
2020年12月、土星と木星が合(水瓶座0度)
で、土星、冥王星、山羊座、水瓶座が強調されています。
第二次世界大戦とホロコースト、原爆投下
第二次世界大戦は、1939年9月1日 ~ 1945年8月15日(9月2日)の期間とされています。
この間は、
- 土星…牡羊座→牡牛座→双子座→蟹座
- 冥王星…獅子座
1940年、土星と冥王星がスクエア(牡牛座-獅子座0度)
1942年、土星と天王星が合(牡牛座29度)
1944~1945年、土星と海王星がスクエア(蟹座-天秤座1~6度)
ハードな天体のアスペクトが形成されています。さらに、0度や29度での形成は危機を示しているかもしれません。
山羊座や水瓶座は見られませんがそれについては、後述。
第一次世界大戦とスペインかぜ
第一次世界大戦は、1914年7月28日~1918年11月11日とされています。
この間は、
- 土星…双子座→蟹座→獅子座
- 天王星…水瓶座
- 海王星…蟹座→獅子座
- 冥王星…蟹座
1914~1915年、土星と冥王星が合(蟹座0~2度)
1917年、土星と海王星が合(獅子座4度)
1918~1920年、土星と天王星がオポジション(獅子座-水瓶座24度~乙女座-魚座5度)
(スペインかぜ…1918~1920年)
第二次世界大戦時と同様に、土星と天王星・海王星・冥王星のハードアスペクトが形成されています。
この頃は、蟹座、獅子座に天体が集まっていたようです。
ペスト(黒死病)の大流行
1347年~1351年頃にペストが大流行したとされています。
ヨーロッパ・アジア・アフリカで約7500万人〜2億人が死亡。ヨーロッパ人口の約3分の1が失われたとされ、社会秩序の崩壊、農業や経済の衰退、宗教観や死生観の大変化をもたらしました。
この頃、
- 土星…魚座→牡羊座→牡牛座
- 天王星…牡羊座→牡牛座
- 海王星…水瓶座
- 冥王星…牡羊座
1350年4月、土星と冥王星が合(牡羊座17度)
ここまで全て、土星と冥王星の組合せが見られます。
大流行の始まりである1347年には、土星が支配する水瓶座を海王星が運行し、土星は魚座を運行していて、流行り病の拡大を連想させます。
ここでは、牡羊座が目立っています。
新大陸の征服と先住民の大量死(15〜16世紀)
コロンブスによる新大陸到達以降、ヨーロッパ諸国による先住民の文化・文明の破壊と征服、植民地支配が始まりました。
戦争・虐殺・疫病(天然痘など)で先住民の死者数は推定5000万人以上とされています。
コロンブスがアメリカ大陸に到達したのは1492年10月と言われています。
その頃、
- 土星…水瓶座
- 天王星…山羊座
- 海王星…射手座
- 冥王星…蠍座
その後、16世紀半ば頃まで、天王星、海王星、冥王星は、山羊座&水瓶座を次々に運行していきました。
土星が支配する山羊座&水瓶座が活性化され「試練」「困難」が強調されていると考えられます。
オポジションのサイン
上記土星以遠の天体が運行していたサインを見ていると、山羊座と水瓶座の他に、そのオポジションである蟹座と獅子座も重要かもしれないと思いました。
蟹座や獅子座を土星以遠の天体が運行すると、そのオポジションのサインである山羊座や水瓶座も少なからず影響を受けると考えられます。
その場合は、土星的な試練や課題が、対人関係や環境から投げ掛けられる(オポジション)、あるいは、家族の安全(蟹座)や個人の自己表現(獅子座)の危機として表れるのかもしれません。
なので、個人の人生、そして人類の困難や試練について考えるときは、土星、山羊座と水瓶座、さらに、蟹座と獅子座、牡羊座などに注目してみるとよいかもしれません。
まとめ
現在は、冥王星が水瓶座に入ったところで、人々は山羊座の常識や抑圧から解放されて、個の独立した道や権利を追求しつつあるのかもしれません。
とは言え、水瓶座も土星が支配星であり、「社会を改革するために行動する」という試練とも言えるでしょう。
また、「土星」自体は海王星と共に魚座と牡羊座を行ったり来たりしています。
なので、基盤の解体と構築、ルールや常識の刷新、夢の実現、などの意味も加わるでしょう。
混沌とした流れの中で、しっかりとくい打ちをする感じでしょうか。「日々の努力は裏切らない」というのは土星の美点だと思います。
現在の天体配置は、自分の弱点や目を背けてきたことと向き合い、克服するよい機会だと考えます。
まずは、個人のホロスコープの山羊座と水瓶座のハウス、そして土星が在住するハウスで、人生の試練に関わるテーマと実際の体験を検証してみてはいかがでしょうか。
それらのハウスにしっかり取り組むことで、人生での充実感や達成感を得られるのだと思います。
そして、
一人ひとりが取り組むことで、「人類の試練」を乗り越えられるの「かも」しれません?!
・・・
参考記事:
トランスサタニアンのサイン移動③と土星と海王星の合
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