同時期に心魅かれた人物のチャートにはしばしば共通点があり、マイブームなのだな~と思います。
最近は、蟹座の海王星と山羊座の天王星の180度がテーマでした。同時代を生きた彼女(彼)らの人生について、蟹座の海王星を中心に検証してみたいと思います。
一人目はマザーテレサ。(データはastro.comより)
バースデータがDD(Dirty Data)ですが、このハウス配置にしたがって分析してみました。
主な心理分析
南・西半球への天体の偏り
社会活動や相手を優先させて自分自身を置き去りにする傾向。
太陽は火星・水星とともに乙女座
純粋なる奉仕の精神と緻密で完璧を目指す仕事能力。何かを継承する(太陽8室)。
月は牡牛座
人間関係や環境をより良い状態に保ちたいという欲求。人を育てる(月5室)。
逆行の天王星(1室)がシングルトンで強調される
誰もたどったことのない道をただ一人開拓していく。(天王星は2室ルーラーで自己価値の課題。)
逆行土星(1室ルーラーで、在4室)が金星とスクエア
父親問題と愛情表現の抑圧。父親は45歳(マザー8~9歳)で急死している。
逆行天王星(1室)が金星とクインデチレ
愛情表現の激化。(土星と天王星は自己像(1室)に関わり、自分の立場からくる愛情表現の強い抑圧。)金星は5室ルーラーで在8室。相手を愛して一体化したいという強い渇望。
冥王星(7室カスプ)と牡羊ポイントの水星(7室ルーラー、在9室)がスクエア
マザーの存在と言葉は世界中の人々に大きな影響を与えており、関連書籍も多数出版されている。
ペレグリンの木星(在9室、MCにコンジャンクション)
高い精神性とバランスのとれた社会活動の拡がり。
そして、今回のテーマである、シングルトン天王星と蟹座の海王星のオポジション。
この軸がチャートの背骨では?
蟹座の海王星(7室)は、弱き人々、傷ついた人々、孤独な人々に対して、愛情と帰るべき場所を与えたいという慈悲の心。
それが、オポジションの天王星(1室)によって激化。私はそのために孤独な道を歩むのだという強い覚悟が感じられる。
(そして天王星は2室ルーラーで、そうすることが自分の存在価値であると感じる。)
「神の愛の宣教者会」を設立し、「死を待つ人の家」をはじめ、孤児、ハンセン病患者、ドラッグ中毒者、売春婦、暴力を受けた女性たちのための『家』を世界各地に開設。
太陽=木星/海王星=水星/金星
強力な理想主義
太陽=土星/冥王星
(太陽は8室ルーラーで在8室。)相手との一体化、失うことへの恐れや苦難。目的実現への不屈の意志。
マザーテレサの心の闇
『マザーテレサ 来て、わたしの光になりなさい!』という本には、マザーが霊的指導役の司教や司祭に送った手紙が掲載されていて、彼女が50年間抱え続けた内面の「深い闇と絶望」について綴られています。
マザーは、32歳の時に「神に何一つ拒まない」という誓願を立てます(その後55年間、マザーはこの誓いを守ります)。
そして、36歳の時、ダージリンに向かう汽車の中でのキリストとの神秘的な出会いにより、「貧しい人々の中で最も貧しい人に仕える」という神からの召命を受けます。
その後約一年間、キリストとマザーの間で、感動的で美しい対話が続きます。イエスはマザーを「私の花嫁」「わたしの愛しい者」と語りかけ、マザーは「わたくしだけのイエス」と応えます。
「来て、来て、貧しい人々のあばら家に、わたしを連れていきなさい。来て、わたしの光になりなさい。」マザーは、この召命に従い『神の愛の宣教者会』を設立するなど、次々と行動していきます。
ところが、コルカタのスラム街で貧しい人々のための活動を始めると、イエスはマザーの前から姿を消し、マザーの深い孤独が始まります。
愛する神の不在~土星スクエア金星について~
「わたくしの神よ、あなたが見捨てられるわたくしとは何者なのでしょう?
愛を求める心の孤独感は耐えられません。わたくしの信仰はどこへ行ったのか。
神よ、この未知の痛みは何とつらいのでしょう。
わたくしの快活さが、空虚と惨めさを覆っている外套だと(人々が)知ってくれさえすれば。
これらすべてにもかかわらず、暗闇と虚無は、神への思慕ほどつらいものではありません。
こんなに小さなわたくしに、神よ、あなたは何をされているのですか。」(上記著書P305より抜粋)
心理占星術では、逆行土星は父親問題(不在など)の可能性を示し、土星・金星のハードアスペクトはその経験から生じる愛情関係の困難さを表します。
マザーの父親は幼いときに亡くなっており、もしかしたら、亡き父親への慕情が神の愛の渇望へと変わっていったのかもしれません。
不在の神を愛するという孤独。それでもあえてその暗闇に身を置き続けることを自分に課したマザー。誠実さの裏側にある深い苦悩。土星・金星ハードアスペクトの究極の姿を見るような気がします。(ペレグリンの天王星とも共鳴していますね。)
マザーが成し遂げたこと
心の闇に焦点を当てましたが、実際のマザーは、「バランスが最も優れた特質の一つ」であり、霊的指導役の神父以外には心の闇について一切口にすることはなかったのです。
そして、不屈の意志、計画性、斬新なアイデアによって、権力をも恐れず、目標を次々と成し遂げた驚くべき行動力の持ち主でした。
終生にわたる孤独との闘いは自分自身との闘いであり、その苦悩こそが理想実現のためのエネルギーとなったのかもしれません。
そして、絶望的な闇を知っていたからこそ、その愛情や言葉は人々の孤独な心に届いたのでしょう。
心の『闇』に苦悩するマザーが人々の『光』であったことは、とても興味深いなと思うのです。
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