「家族」にとって重要な出来事があったときの時期表示を検証すると、ある傾向に気が付くことは多いと思います。最近、それを再び実感しているので、その中で特に重要なトランジットに注目してみました。ご参考にしていただければ幸いです。
共通の度数域
私の場合、身近な家族が他界したり、家族が困難な状況にあったときの土星以遠の天体(土星、天王星、海王星、冥王星)の配置をピックアップすると、いくつかの『共通の度数域(オーブ約2度)』が浮かび上がってきます。
うちの家族は、5人のうち3人のAC(アセンダント)またはMCが、2度以内で共通しているのですが(例えば、家族AのACが蟹座の6度で、家族BのICが蟹座の7度など)、
最も明確に表れている困難な時期のトランジット度数域は、まさに3人の軸に一致します。
(厳密に言うと3区分と度数が同じ、つまり、軸の蟹座6度に対して、トランジットの天体が、牡羊座6度/山羊座6度など。)
軸の共有は家族間で頻出しますが、その場合、トランジットの影響を同時に受けるということです。それは、しばしば家族の死や離別など、家族で体験する困難な時期を示す可能性があります。そこまでではなくても、誰かの心配ごとにより、家族のストレス・心理的負担が大きくなる時期かもしれません。
そして、そういった困難な時期を通して、家族の中で何らかの大きな変化があったりします。
我が家の例
参考までに、我が家の例をご紹介します。
数年前、天王星と冥王星がスクエアで『共通の度数域』にヒットしたときに母が他界。
この時期は、私の人生最大のピンチであり、同時に今まで棚上げしてきた課題に取り組む最初で最後のチャンスでもありました。
同じ頃、心理占星術オンラインセミナーの受講を始めます。
そして、今年、その『共通の度数域』に土星が最初にヒットしたころ、父が他界。
私に最大の影響を与えた父を見送り、無事に納骨を済ませたときには、悲しさとともに大きな安堵感がありました。
この頃、同時進行で占星家としての活動を始めました。振り返ると、大きな荷物を背負って一歩一歩山道を歩くような、そんな心境でした。
現在、土星はまだ『共通の度数域』にあります。
今は、そこに軸があるこどもたちが、それぞれに大きなプレッシャーの中、目の前の課題に取り組んでいます。人生最初の過酷なチャレンジとも言えます。それは、母親である私にとっても大きな不安や心配との戦いです。
また、その中で、私自身も両輪で続けてきたことの一つをやめる、という決断をしました。迷ってきたことについて心が決まった、という感じです。
さらに、
30年前、『共通の度数域』に海王星がヒットしたころ、当時大変お世話になっていた、第二の母ともいうべき叔母が亡くなり、入れ替わるように、夫に出会いました。
その後土星、天王星が『共通の度数域』に次々にヒットしていった後に結婚しました。
こうして確認すると、この度数域は私や家族にとって確かに重要であると推測できます。
でも、その度数域に遠い天体がヒットするとき、そこに軸をもつ人物に大きな影響があることは理解できるのですが、私と次女の軸の度数は『共通の度数域』ではありません。それでも、その度数域に遠い天体がヒットした時期は、私の人生の中でも記憶に残るような、困難で、かつ重要な時期だったのです。その表示は何だろうと思いました。
そこで、私自身のチャートで『共通の度数域』について調べてみました。
重要なミッドポイントについて
その度数域は私と次女の太陽と土星のミッドポイントにありました。つまり、
家族A: AC
家族B: =太陽/土星
家族C: =MC
家族D: =MC
家族E: =太陽/土星
これが、我が家の「共有体験」を示す、最も重要な表示の一つなのだと思います。家族の誰かの苦難の時期は、他の家族にとっても困難な時期であるということです。
太陽/土星 が示すこと
太陽と土星のミッドポイントは・・・
野心の強調、試練、責任の自覚、父親の重要性、苦難、オーバーワーク、消耗、制限、訓練、喪失の怖れ、孤独感、大きな悲しみ
(ティル先生の″Synthesis & Counseling in Astrology”より)
このミッドポイントへのトランジットやソーラーアークをあらためて振り返ってみると、私にとって苦難や悲しみと同時に、新たな動きがあったことに気が付きました。つまり、困難の中で前進していたといえるかもしれません。
言い換えると、気付かないうちに、「困難」が前進のエネルギーになっていたともいえます。
太陽/月 もう一つの重要な度数域
我が家にとって、困難(重要)な時期を示すと思われる、もう一つの度数域にかかわる軸、天体、ミッドポイントをあげてみます。
家族A: 太陽/月=土星/冥王星=月/木星=金星/冥王星
家族B: ≒太陽 =土星/冥王星=月/木星=海王星/AC
家族C: =月=木星=冥王星=海王星/AC
家族D: =(AC)=金星/冥王星
家族E: =AC=(金星/冥王星)
( )内は、ハーモニック8(45度、135度)
ここで、太陽と月のミッド・ポイントについて、ティル先生のエッセイより抜粋します。
太陽/月のミッドポイントという象徴の分析感度は特別に高く、この太陽/月ミッドポイントにトランジットやアークがアスペクトする場合にも反映されます。- 成人してから、このトランジットやアークが形成される場合、人生の展開の物語を確実に点検できることに疑問の余地はありません。現実に、ほぼ90%の確率で出来事が起こります。
その他ご参考:ミッド・ポイントピクチャー(石塚先生訳)
つまり、太陽と月のミッドポイントへのトランジットやアークの時期は、パートナーとの関係において、またはパートナーに重要なできごとが起こる可能性を示します。
なので、太陽と月のミッドポイントと、そのパートナーや家族のAC・MC軸や困難な時期を示すミッドポイントの共有は、遠い天体のトランジットを同時期に体験する=苦難を共有する、ことを示すのだと思います。
反対に、太陽と月のミッドポイントと、そのパートナーや家族のAC・MC軸や愛情を示すミッドポイントの共有は、トランジットが示す幸福や幸運を同時期に体験する=幸せを共有する、ことを示す可能性があるのでしょう。
それらが混在している場合は、悲喜交々ということでしょうか。
共有するその他のミッド・ポイントについて
土星/冥王星・・・人生のあらゆる場面における喪失の恐れ、潜在的自己破壊、超激務
海王星/AC・・・高い感受性、スピリチュアルな投影、エゴの喪失、特別であることを受け入れられる
金星/冥王星・・・力に慈愛が加わる、受け入れることを学ぶことで不屈となる、愛情を激しく求める、強制力、感情の浪費
月/木星・・・幸福感、成功、満足、チャンス、報酬、宗教や司法の重要性
(ティル先生の″Synthesis & Counseling in Astrology”より)
ちなみに、私は『家族B』なのですが(笑)、この、『もう一つの度数域』に土星がヒットした時期は、絶望感の中で「神」なるものに全てを委ねることで不思議な体験をしたり、何かに感謝せざるを得ないような状況であったと思います。様々な意味のミッドポイントを同時に体験したということでしょうか。
こうしてミッドポイントと当時の状況を検証すると、なるほど~と気付くことがありますね。
・・・
今回はトランジットに注目しましたが、ソーラーアークについても家族の重要な時期(特に離別や移動などの変化を伴うとき)は、家族それぞれのチャートで表示として表れることが多いようです。
逆に言うと、このような時期表示の共有が家族や重要なパートナーとの『縁』を表しているといえるのかもしれません。
あらゆる縁は緻密にそして完璧に織りあっているのでしょう。
コメント