移動とともに人生が大きく変わった著名人として、最初に頭に浮かんだのがハリウッド女優からモナコ公妃となったグレース・ケリーです。かなり昔の映画ですが、ヒッチコック監督の『裏窓』が印象に残っています。車の運転中に脳梗塞を起こし崖から転落して非業の死を遂げたことは、当時の人々に衝撃を与えたことでしょう。
若い頃映画を観るのが楽しみだったという私の母が「きれいやねえ。」と言ったその憧れのような感情を、子どもだった私はそのまま受け取ったように思います。
心理傾向
(データはastro.comより。ハードアスペクトのみ表示)
・蠍座の太陽と魚座の月。目に見えない情報を繊細に感じ取りながら、全てを把握して周りをコントロールする。人の心理を見通す洞察力。
・東半球(特にアセンダント周辺)への偏りで自己防衛の傾向。
・太陽・月・冥王星で、水のグランドトライン。感情を自分の中に納めてしまう閉回路が魚座の月でさらに強調される。防衛的姿勢。
自己防衛の傾向が重複して表れています。何から身を守る必要があったのでしょうか?
・牡羊ポイントの土星(2室)と5室の月がスクエア、8室の木星(2室ルーラー)がクインデチレ(165度)。土星は3室ルーラー。
おそらく父親の存在が、自己価値感、そして、愛情表現や親密な関係に影響を及ぼす。兄妹関係が関わってくる可能性。
・5室にペレグリンの天王星(4室ルーラー)
情緒的繋がりに欠ける家庭で育った孤独感から、衝動的な愛情表現となる。
・水星(8室と11室のルーラー)はペレグリンで、ノード軸とコンジャンクション、MCとスクエア。金星(7室ルーラー)と火星がノード軸とクインデチレ。
母親の存在が、考え方や恋愛、仕事に影響を及ぼす。愛情を受け取ることを難しくした背景は?
グレースは、幼い頃の家庭の中で、繊細な感情を全力で守る必要があったのでしょう。
グレースの父は、スラム育ちの煉瓦職人でしたが、上流階級の競技であるボート競技で頭角を現し、オリンピック金メダルを合計3個獲得して一躍国民的英雄になりました。その後、煉瓦製造会社を立ち上げ億万長者になりました。
野心的な強い父親
幼い頃のグレースは病弱で内向的、本や芝居を好み空想癖がありました。父親は、スポーツが得意な他の兄妹たち(兄・姉・妹)を溺愛して、グレースのことはいないものとして扱ったそうです。そして、厳格なカトリック教徒であった母親も彼女の味方にはなってくれませんでした。
どんなに頑張っても誉めてくれない父親と、愛情を注ぐことよりもルールを重んじる母親
女優時代は恋多き女性として有名で、自分より年長の共演者である大スターたちと浮名を流しました。母親は何かと理由をつけて、ことごとく反対したようです。
グレースは年長の男性の中に父親を求めたのでしょうか。母親は、どうして娘の恋愛に過剰に関与したのでしょうか。
1955年、グレースが『喝采』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したとき、父親は「長女だったらグレースよりうまくやっただろう」と語り、グレースは後に「私の人生の中で一番さびしい時間でした。」と話しています。
ここで、父親に視点を移すと、彼自身がこどものときに、条件付きでしか褒められなかったことが考えられます。どんなに努力しても見向きもされないグレースは、実は父親自身だったのかもしれません。
レーニエ公との結婚生活では、最愛のこどもたちの問題行動やレーニエ公の浮気などに悩まされるのですが、「妻たるもの家庭を守り、体裁を保ち、何より離婚は悪」と、母親から叩き込まれていたグレースは、良き妻、良き母、そして良き王妃になるよう最善の努力をしました。ただ、晩年はかなり落ち込んでいたようです。
ノード軸が、水星・金星・火星・MC軸と接触していることは、考え方や人間関係、社会的立場などに母親からの強い影響があったことを表しているようです。
晩年(52歳で亡くなるまで)は、努力の裏側で、満たされない何かがあったのでしょうか。
グレース・ケリー(2)に続く・・・
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